村人たちとの相談
夜の宴の翌日。
村の集会所には人々が集まり、長机を囲んで口々に声をあげていた。
「王に献上するなんて、下手をすれば怒られるんじゃないか?」
「ただの魔物の残骸を持っていっても、信じてもらえんだろう」
「むしろ不審に思われるぞ……」
ざわつく声を手で制し、白髭を蓄えたトーマス爺さんが立ち上がった。
「静まれ。これは村の未来を左右する大事な話じゃ。……トリス、お前の考えを聞かせてくれんか」
集まった視線を一身に浴び、胸がざわつく。
だが、もう逃げるわけにはいかない。
「アントの素材は、ただの魔物の残骸じゃありません」
俺は一歩前に出て言葉を続けた。
「街道が完成したのが、その証拠です。
“どう使えるか”を示せば、王もきっと理解してくれます」
村人たちが顔を見合わせ、ざわざわと小さくうなずき合う。
そのとき、ミーナが手に持った帳簿を机に置き、はっきりと声を上げた。
「素材だけじゃ駄目。技術も一緒に示さなきゃ。
“この村だからできる”ってことを伝えるの。
そうすれば王は投資してくれるはず」
しんとした空気が広がる。
やがてトーマス爺さんが大きく頷き、白髭を撫でながら言った。
「素材と技術……なるほど、だが具体的に何を持っていけばいいんじゃ?」
トーマス爺さんが腕を組み、皆を見渡した。
「クイーンアントの外殻と体液を一部。
無限に取れるものじゃないけど、証明として十分です」
俺は言いながら、収納から甲殻の欠片を取り出して机に置いた。
硬質な音が響き、村人たちの目が見開かれる。
「これが……王様に見せる証拠か」
「たしかに、この硬さなら道に使える……」
ミーナが前に出て、別の包みを開いた。
そこには乾いた体液を使って固めた土の塊が並んでいる。
「これも持っていきましょう。街道に使ったのと同じ方法で固めたものよ。
“素材が技術でこう変わる”って、実際に手で触ってもらえるはず」
村人たちが順にその塊を触り、ざわめきが広がる。
「……石みたいに固い」
「ほんとに魔物の体から、こんなものが……」
さらに俺は言葉を継いだ。
「でも、それだけじゃ足りません。
この村には今、売れる物も交易品も少ない。
だから――アントの素材をきっかけにして、木材や薬草、農作物を“村の特産”に育てたいんです」
「特産……」
「交易品……」
呟く声が広がり、トーマス爺さんが白髭を撫でて笑った。
「なるほどのう。つまりこうじゃな――
“素材”を見せ、
“技術”を証明し、
“未来の特産”を計画として示す。
三つそろえて初めて、王に信じてもらえるわけじゃ」
「はい」
俺は強く頷いた。
「王に示すのは、この村が“未来を作れる村だ”ってことです」
静まり返った集会所に、その言葉が響き渡った。
やがて村人たちが一人、また一人と頷き、ついには大きな拍手が起こった。
「さて……誰が王都へ行くべきか」
トーマス爺さんが椅子から腰を上げ、真剣な眼差しを俺たちに向けた。
「もちろん俺が行きます」
俺は即座に答えた。
「でも、一人じゃ足りない。素材を運び、技術を説明し、王に未来を示すには……」
「その役、私にやらせて」
真っ先に声を上げたのはミーナだった。
栗色の髪を揺らしながら一歩前に出る。
「商人をしていた経験があるし、数字や取引の言葉も慣れてる。
王の前で村の未来を話せるのは、私しかいないはず」
場が一瞬で静まる。
村人たちも納得したようにうなずき合った。
トーマス爺さんも白髭を撫で、目を細める。
「ふむ……たしかにお前ならば言葉で王を動かせるやもしれん」
「それと、護衛は必要だろう」
アリアが立ち上がった。
その手には小刀――いや、彼女が磨き続けた剣が握られている。
「道中、何が起こるかわからない。トリスの隣は、私が守る」
力強い声に、俺は思わず頷いていた。
「ありがとう、アリア」
「じゃあ決まりだな!」
トーマス爺さんが机を叩いた。
「王都へ行くのは――トリス、アリア、ミーナ。
村の未来を託したぞ」
「はい!」
三人の声が重なり、集会所に響いた。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




