完成祝いの夜
篝火の炎が赤々と燃え、広場は歓声に包まれていた。
街道の完成を祝う酒宴は、これまでの村にはなかった規模で、まるで祭りそのものだった。
肉が焼ける匂い、子供の笑い声、男たちの高笑い。
女たちは手際よく料理を運び、老いた者たちでさえ杯を掲げて笑っている。
俺は立ち上がり、無限収納からアントの外殻を取り出して篝火の前に置いた。
硬質な音を立てて積まれた甲殻の山に、村人たちの息が止まる。
さらに瓶詰めした体液を並べると、どよめきが広がった。
「これが俺たちの手で得た力だ。
外殻は砕けば水はけをよくし、土を締める。
体液は乾けば固まり、舗装材になる。
実際、この街道を形にしたのはこれらだ」
人々が互いに顔を見合わせ、誰かがぽつりとつぶやいた。
「……本当に、あの道は、魔物の体から……」
「そうだ」
俺は頷いた。
「だが価値は素材だけじゃない。
“どう使えばいいか”を知っている、この技術そのものにも価値がある。
俺たちは証明したんだ――アントの力を、文明に変えられるって」
ミーナが進み出て声を添える。
「素材だけなら誰でも手に入るかもしれない。
けど正しい使い方を知らなければ無駄になる。
街道の技術は、この村だけの財産よ」
村人たちの中に驚きが走り、ざわざわと声が上がった。
「素材と……技術、両方を示せるってことか」
「なら王様も……」
俺は杯を高々と掲げ、はっきりと言った。
「そうだ。王に示す。
アントの素材の山と、それを活かす技術。
これを届けて、この村はただの辺境ではなく“価値ある土地”だと証明する!」
広場が一斉に沸き立つ。
子供たちが走り回り、男たちは拳を突き上げ、女たちも笑顔で杯を掲げた。
「だが、それだけじゃ終わらない」
俺は言葉を続けた。
「得た資金で、この村の交易品と特産を育てる。
木材の加工、薬草の栽培、果樹や農作物……。
今はまだ小さな一歩だが、必ず“村そのものが価値”になる未来を作る」
トーマス爺さんがしわだらけの手を組み、目を細めた。
「……ただの虫退治が、ここまでの話になるとは。わしらの村に未来があるなんて思いもしなかった」
「ネルも役に立ったんだぞ!」
子供が叫び、ネルが「グルル!」と鼻を鳴らして前足で地面を掘る。
笑い声が広がり、場の空気がさらに和らいだ。
「よし!」
俺は声を張った。
「アント素材の山と街道の技術、そしてこの村の未来を――王に示す!
このハルトン村の名を、王都に響かせてやろう!」
「おおおおおっ!」
杯が一斉に夜空へ掲げられた。
篝火の炎が風に揺れ、舞い上がる火の粉が星々と重なって散っていった。
その光景は、確かに村人たちの心に“未来”を灯していた。
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AIをとーても使いながらの執筆となっております。




