表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/82

観察と気づき

ビッグスライムは再び体を震わせた。

ずるり、と通路いっぱいに広がる巨体。

次に来るのは――突進。

その事実を、トリスは全身で理解していた。


背中には冷たい石壁。

もう一歩も退けない。

逃げ場はない。


「……はぁ、はぁ……」


荒い呼吸を押し殺し、トリスは必死に思考を回す。


(落ち着け……焦るな……! 観察だ……!)


脳裏に、今まで幾度も使ってきたスキルの感覚が蘇る。

観察眼――敵の動きを見抜き、癖を掴む力。


(核は……どこに……?)


目を凝らす。

濁った体液の奥、光る球体がかすかに揺れていた。

しかし核は常に動き続け、中心から逃げるように位置を変える。

だから、どれだけ剣を突き込んでも当たらなかったのだ。


「……そうか……!」


トリスの瞳が細く光る。


(核は完全にランダムじゃない。――体を震わせるたびに、必ず左へ寄って……それから戻る!)


何度も、何度も、その動きを確認する。

震えれば左。戻る時は右。

規則的に、決まったリズムで繰り返されていた。


(なら……その一瞬を狙えば!)



「ぷるんっ!!」


ビッグスライムが跳ね、突進の構えを見せた。

床が揺れ、酸の滴が飛び散る。

ジジジ……と煙を上げ、石畳が黒く焼け焦げていく。


「う……!」


熱気と異臭が押し寄せる。

だがトリスは目を逸らさなかった。



「うおおおおおっ!!」


全身の力を振り絞り、正面から駆け出した。

まるで突進を受け止めに行くように。

周囲で冒険者が見ていたら、きっと無謀だと嘲笑しただろう。


だがトリスには見えていた。

核の動き。

揺らぎの癖。

そして左に寄る瞬間が迫っていることを。


「まだだ……まだ……!」


巨体が影となり、酸が肩に降りかかる。

布が焼け、煙が立ち上がる。

肌が焼けるように熱い。

それでも一歩も止まらない。


(今だ!!)


核が、確かに左へ寄った。



「はあああああっ!!」


渾身の突きを放つ。

木剣の先がぶよぶよとした表層を突き抜け、重い抵抗を受けながら奥へ進む。

ぬるりとした嫌な感触を振り払い硬い手応えを掴んだ。


「……砕けろぉぉぉっ!!」


全身の力を込めて押し込む。


ぱきんっ!


鋭い音が響き渡り、光の粒が四方に飛び散った。



巨大なスライムが、痙攣するように震えた。

次の瞬間、濁った緑の体が内側から崩れ、粘液が一気に爆ぜる。

酸の雫が通路に飛び散り、ジュウウと煙を上げる。


だが核は砕かれた。

その証拠に、スライムの巨体は光の粒へと変わり、ゆっくりと消えていった。


「……はぁ……はぁっ……!」


トリスはその場に膝をつき、荒い息を吐いた。

肩も腕も焼けただれて痛みはひどい。

全身汗まみれで、木剣の先は酸で黒く焦げている。


けれど――勝った。


「やった……倒した……!」


震える声で呟いた。

孤児の少年は、たった一人で巨大な魔物を討ち取ったのだ。


その小さな胸の奥で、確かな実感が芽生えていた。


(俺は……生き残れる。生きて、みんなを守れる……!)


光の残滓がきらめきながら消えていく。

それはまるで、少年の未来を祝福するかのように輝いていた。

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ