隠してきた力と、進化の選択
広間は、ジェネラルアントの死骸で埋まっていた。
硬い甲殻、折れた脚、巨大な顎――武具や街道に使えるものばかりだ。
「これ、全部……持ち帰れるんですか?」エルムが呟く。
「普通なら無理だな」ルークが肩をすくめる。「馬車十台分あっても足りねえ」
仲間の視線が俺に集まった。
俺は小さく息を吐き、手をかざす。
黒い裂け目が生まれ、散らばった素材が音もなく吸い込まれていった。
「……消えた!?」ディルが剣を構える。
「俺のスキルだ。収納したんだ」
「どこまで入るの?」ミーナが目を丸くする。
「正直、まだ底は見えてない」
仲間の顔に驚きが走る。
「……本当に“無限”ってこと?」アリアが小さく呟いた。
俺は肩をすくめた。「これまで隠していた。だが、今は言う。俺はこういうスキルを持っている」
「トリス様……!」エルムが瞳を輝かせる。
「隠してたのは腹立つが、助かるのは事実だな」ルークが笑った。
「秘密の一つや二つ、誰だってあるわ」アリアが柔らかく言う。
俺は胸の奥が少し軽くなるのを感じた。
「……ありがとう。じゃあ、集められるだけ集めよう」
⸻
仲間が休憩を兼ねて素材を拾い集める間、俺は壁に背を預けた。
視界が揺れ、脳裏に文字が浮かび上がる。
【条件達成】
《鑑定》 Lv10 + 《洞察眼》 Lv10
→ 統合進化が可能です。
進化しますか?
→ Yes / No
「……選べるのか」俺は喉を鳴らした。
(ここで躊躇する理由はない。次の敵に勝つためにも――進むしかない)
俺は心の中で迷わず Yes を選んだ。
【統合進化開始……】
《真鑑定》を獲得しました。
世界が変わった。仲間の呼吸や筋肉の動き、死骸から漂う力の流れまで見える。
さらに光が走る。
【条件達成】
《采配》 Lv10 + 《統率》Lv10
→統合 進化が可能です。
進化しますか?
→ Yes / No
「……当然だ」
再び Yes を選ぶ。
【統合進化開始……】
《統治》を獲得しました。
盤面のように仲間の配置が浮かび上がり、次にどう動けば最善かが手に取るようにわかった。
「……これが、俺の新しい力か」
⸻
地面が震えた。
奥から響く、低く重い咆哮。
壁を削りながら、巨大な影が現れる。
兵隊蟻の何倍も膨れた腹部、鋭い顎――クイーンアント。
「で、でかい……」エルムが声を震わせる。
「ジェネラルの比じゃねえな」ルークが歯を食いしばる。
俺は刀《繋》を構えた。
「退くことはできない。――全員、覚悟はいいか?」
「はい!」
「任せろ!」
「本番ね……!」
女王の咆哮と、俺たちの声が重なった。
――クイーンアント戦、開始。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




