蟻の王国への一歩
蟻の異常発生が続いていた。
街道作りの現場にもワーカーアントが列をなして現れ、村人たちは恐怖に顔を曇らせる。
「このままじゃ村が呑み込まれるぞ……」
「俺たちじゃどうにもならねえ……」
広場に集まった村人たちの声は、不安と絶望に揺れていた。
俺はその中心で、深く息を吐いた。
「だからこそ、外から力を借りる」
ざわめきが広がる。
俺は続けた。
「昔、一緒に戦った仲間がいる。信じられる冒険者たちだ。彼らを呼んだ。必ずここに来る」
その瞬間、広場の入口から声が飛んだ。
「ったく……呼びつけるのが遅えんだよ、トリス!」
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姿を現したのは、剣を腰に下げた逞しい男――ルーク。
その隣に、軽装の革鎧に双短剣を帯びた青年――ディル。
「ルーク! ディル!」
思わず声が上ずった。
ルークがにやりと笑い、肩をすくめる。
「久しぶりだな。ちゃんと領主様になったって聞いた時は耳を疑ったぜ。だが、呼ばれりゃ来るさ。お前だけに戦わせるわけにはいかねえ」
ディルは鼻で笑いながらも、口元は緩んでいた。
「まったく、子供だったお前が人を率いる立場とはな。けどまあ――その洞察眼も鍛えられてるのだろ?もう一度見せてもらおうじゃないか」
村人たちは目を丸くしていた。
まるで英雄でも見たかのように。
⸻
そこへアリアが現れ、腰の剣を軽く叩いた。
「私もいるわ。再結成するなら、私抜きじゃ始まらないでしょ」
ミーナが笑みを浮かべて杖を掲げる。
「魔法の出番も多そうね。蟻の王国だなんて、放っておけないわ」
最後に、エルムが息を切らせながら駆け寄ってきた。
「トリス様! ぼ、僕も! 一人前になりたいんです! だから、一緒に行かせてください!」
村人たちのざわめきが歓声に変わっていく。
俺は剣《繋》に手をかけ、仲間を見渡した。
「……ありがとう。みんながいてくれれば、必ず乗り越えられる」
こうして――《風切りの羽》は、完全に再結成を果たした。
⸻
翌朝。
再結成したパーティと共に、森の奥へと向かった。
地面には異様な大穴が開き、土と酸っぱい臭気が漂う。
「……これが、蟻の仕業か」
ルークが低く唸る。
「ただの獣じゃないわね」
アリアが剣に手をかける。
「組織的すぎる。軍隊よ、これは」
俺は《鑑定》を発動した。
――《ワーカーアント》:巣の拡張行動。数:異常値。危険度:B。
(やはり……これは“異常”だ。奥には必ず、もっと大きな存在がいる)
ディルが短剣を弄びながら、薄く笑った。
「ま、楽しくなりそうじゃねえか」
エルムが緊張に槍を握り直す。
「トリス様……僕、足手まといにはなりません!」
俺は笑い、彼の肩を叩いた。
「頼りにしてるぞ」
⸻
暗い穴へ足を踏み入れた瞬間、甲高い鳴き声が響いた。
「ギチチチチ!」
松明の光に浮かび上がったのは、十匹近い《ワーカーアント》の群れ。
顎は鋼のように光り、動きは統率が取れている。
「前衛は俺とルーク! アリアは援護! ミーナ、火で照らせ! ディルは背後を叩け!」
俺は即座に采配を発動した。
ルークの剣が閃き、一体を斬り伏せる。
エルムの槍が二匹の脚を裂き、ディルが背後から短剣で急所を突く。
アリアの矢が的確に顎を砕き、ミーナの火球が群れを照らして混乱させた。
「すげぇな……!」
村から同行した若者が息を呑む。
「まだ入口よ」
アリアが低く告げる。
「奥には、もっと強いのがいるはず」
俺は刀《繋》を構え直し、仲間たちを見渡した。
「進むぞ。《風切りの羽》の力、見せてやろう」
仲間たちが頷き、蟻の王国への一歩を踏み出した。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




