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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
新たな領主、新たな秩序

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荒れ果てた村

王都を出て西へ向かう街道は、しだいに活気を失っていった。

城下では賑やかに声を張り上げていた商人たちも、門を越えれば姿を消し、代わりに風が草を揺らす音ばかりが耳に残る。


馬車の車輪が土を踏み締め、ぎしりと軋んだ。

窓の外に目を向けると、かつて耕されたはずの畑が雑草に覆われ、麦の黄金色はどこにもない。

黒く焦げたような土の跡が点々と続き、村人の手が長らく入っていないことを物語っていた。


「……ずいぶん荒れてるな」

思わず言葉がこぼれた。


御者台で手綱を操るカインが肩越しに応じる。

「まだこれでもマシな方だ。奥に行けば、もっとひどい。

 戦や魔物のせいもあるが、一番の理由は……人が疲れ果ててるからだ」


言葉の重みが、馬車の中に落ちた。

アリアが窓際に寄り、じっと畑を見つめる。

「父も同じことを言っていた。剣で村を守れても、人の心までは守れないって」


俺は拳を膝の上で握った。

――これが、俺に託された領地。

これから向き合う現実。



道中、時折すれ違う村人たちは馬車をちらりと見るだけで、挨拶もない。

痩せこけ、背を丸め、視線を合わせようとしない。

かつての俺も、こんな目をしていたのかもしれないと思うと胸が詰まった。


「トリス、顔がこわばってるぞ」

カインが笑いを含んだ声で言う。

「緊張するのは当たり前だが、肩に力を入れすぎると空回りする」


「……緊張してるよ。でも、それ以上に覚悟してる」

「ほう、言うじゃねえか」

カインがにやりと笑い、手綱を軽く引いた。


アリアはそんな二人を見て小さく笑った。

「大丈夫。六年間、誰よりも努力してきたのを知ってる。だから、きっと乗り越えられる」

「……ありがとう」

自然と声が低くなる。彼女の言葉は、どんな剣よりも強く胸を支えてくれた。



やがて丘を越えると、村の全貌が現れた。

屋根瓦は崩れ、壁はひび割れ、広場の大樹は枝先が枯れ落ちている。

道には小石が散乱し、井戸の周りには人影すらない。

生活の気配があるはずの場所に、あるのは静けさと諦めの匂いだった。


「これが……俺の村」

声が自然に漏れた。

アリアもまた視線を落とし、息を詰めていた。


馬車を広場に止めると、数人の村人が集まってきた。

最初に前に出たのは、鍬を杖にした年配の男。

深い皺の刻まれた顔は険しく、眼光だけは衰えていなかった。


「……あんたが、新しい領主か」

低く抑えた声に、周囲の村人がざわつく。


「はい。トリス・レガリオンと申します」

俺は深く一礼し、声をはっきりと響かせた。


「子どもじゃないか。俺たちは何度も待たされ、何度も裏切られた。もう言葉は聞き飽きた」

男は鼻を鳴らす。その名はバルドと名乗った。畑をまとめてきたという。


「言葉だけを持ってきたつもりはありません。俺は剣を振るい、鍛冶を学び、畑を耕すことも覚えました。

 村のために、この手を動かします」


沈黙が落ちる。

だが、後ろから女性が一歩進み出た。

子を抱いた若い母親だ。目は不安と、それでもわずかな希望で揺れていた。


「……もし本当にやってくれるなら、信じたい。私たちの子どもにだけは、飢えさせたくないんです」


彼女の声に、周囲の村人たちが小さく頷いた。

バルドは目を細め、吐息を洩らす。


「ならば見せてもらおう。口ではなく、行動でな」


「はい。必ず」

俺は深く頷いた。



そのとき、群れから小さな子どもが駆け寄ってきた。

痩せた手で俺の服を掴み、大きな瞳で見上げる。

「領主さま……ごはん、くれる?」


心臓を掴まれるような衝撃。

俺は膝をつき、子どもと視線を合わせる。

「必ず食べられるようにする。約束だ」


子どもの目に、わずかな光が宿った。


――この村を立て直す。

それが、俺に課せられた最初の仕事だ。


初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

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