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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
火と鉄に魅入られる青春-鍛治修行-

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炎を読む少年

翌日も、俺は工房の炉の前に立っていた。

両手は豆だらけでひりひり痛み、腕は筋肉痛で鉛のように重い。

それでも、不思議と胸は高鳴っていた。


「今日は槌は握らせん」

ガルドの低い声が響く。


「……え?」

「鉄を打つ前に覚えることがある。火を読め」


「火を……読む?」


「そうだ。鉄は生き物だ。熱しすぎれば脆く、冷めすぎれば硬くなる。

色と匂い、そして音で、鉄の声を聞き取れ」



ごうごうと燃える炉に目を凝らす。

鉄は炎に包まれ、真っ赤に輝き、じわじわと橙色へ変わっていく。

鼻を突く金属の匂い。ぱちぱちと弾ける火の粉の音。


「どうだ、今の鉄は」

「……赤が暗くなって、音も小さく……熱が落ちてきてます」

「正解だ」


ガルドは火箸で鉄を引き上げ、再び炉に戻した。

その瞳に、ほんのわずかだが期待の色が宿った。



「へぇ、初めてにしちゃ上出来じゃねえか」

カインが横から覗き込み、にやりと笑う。


「でもな、色だけで判断すると痛い目見るぞ。匂いと音も大事だ」


「匂い……音……」

俺は汗を拭いながら、鉄に意識を集中させた。


じっと見つめるうちに、不思議な感覚が芽生える。

赤から橙、橙から黄へと変化する色合いが、まるで呼吸のように見えてきた。


「……鉄が、呼吸してるみたいだ」


「おっ?」

カインが目を丸くする。

「そうだ、それだ! 鉄の呼吸を感じ取れりゃ、打つタイミングは自然と見えてくる」



その時、アリアが桶の水を抱えて近づいてきた。


「トリス、本当に集中してるのね。昨日とは別人みたい」

「昨日は力任せで失敗したから。今日はちゃんと、見たいんだ」

「……ふふっ。そういうとこ、好きよ」


不意に微笑まれ、顔が熱くなる。

……いや、炉の熱のせいだ。きっとそうだ。



夕暮れ。

ガルドが無言で鉄を炉に入れ、取り出した。


「さあ、こいつをどう見る」


俺は一歩前に出て、炎に包まれた鉄を凝視する。

橙に黄が混じり、火の爆ぜる音は少なく、甘い金属の匂いが漂っていた。


「……今が、打ち時です」


一瞬の沈黙。

次の瞬間、ガルドの口元がわずかに上がった。


「悪くない。よく見えている」



「なかなか筋がいいじゃねえか」

カインが豪快に肩を叩いてきた。


「俺より早くコツ掴んだんじゃね?」

「そ、そんなことは……」

「ははっ、謙虚もいいが胸張っとけ。自分で掴んだ力だ」


アリアも嬉しそうに頷く。

「父さんがあんな顔するの、久しぶりに見たわ」


胸の奥がじんわりと熱くなる。

昨日はただ必死に槌を振るっただけだった。

だが今日は鉄の声を、確かに聞き取れた。


炎と鋼が呼吸する音。

俺は、その会話を少しだけ理解できたのだ。



夜、孤児院に戻った時も、耳にはまだ火の爆ぜる音が残っていた。

痛む手のひらを見下ろし、思わず笑みがこぼれる。


(俺は、鉄と話せる。少しだけど……確かに)


十一歳の夏。

鍛冶屋の道を歩き始めた俺にとって、二日目は“火と会話する日”になった。

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

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