ビッグスライム
通路の奥で、“ぷるん”という音が響いた。
だが、それは今までの軽い音とはまるで違う。
重く、鈍く、床を震わせるような低い響き。
「……嫌な予感がする」
トリスが木剣を構えた瞬間、暗闇の奥から巨大な影が姿を現した。
半透明の体。だが、その色は淡い水色ではなく、濁った緑色。
人の背丈を超えるほどの大きさで、どろりとした液体が滴り落ちるたび、石畳が「ジジッ」と音を立てて煙を上げる。
目に入るだけで、本能が告げていた。
これは、今までの雑魚とは違う。
「ビッグスライム……!」
通路を塞ぐほどの巨体。
その中心に浮かぶ核は、普通のスライムよりもはるかに大きく、そして硬そうに光っていた。
(これを倒さなきゃ……先へ進めない……!)
スライムが体を震わせたかと思うと
「ぷるんっ!」
次の瞬間、弾丸のように突進してきた。
緑色の巨塊が通路を押し潰す勢いで迫る。
「うわっ!」
トリスは反射的に横へ飛び退いた。
直後、スライムが叩きつけられた床が「ジュッ!」と音を立てて溶け落ちる。
石畳がぐずりと崩れ、鼻を突く焦げ臭い匂いが立ち込めた。
「ま、まともに食らったら……ひとたまりもない……!」
冷や汗が背中を伝う。
木剣を握る手が震える。
だが、足を止めるわけにはいかなかった。
(俺は生き延びる! 孤児院のみんなのために!)
胸の奥で、小さな炎が燃え上がる。
⸻
ビッグスライムは、再び体を震わせる。
「ぷるん……!」
今度は酸をまとった塊を飛ばしてきた。
液体が壁にぶつかり、「ジュウッ!」と音を立てて石が崩れ落ちる。
「ひっ……! これ、避けるしかない……!」
通路の端へ転がり込みながら、トリスは必死に距離を取った。
だが、逃げてばかりではいずれ追い詰められる。
「くそっ……核を壊すしか……方法はない!」
目を凝らす。
緑色の体の奥に見える、鈍く光る大きな核。
だが分厚い粘液に守られ、容易には届きそうにない。
「どうやって……突き刺す……?」
トリスは唇を噛んだ。
酸に触れれば武器は溶ける。
真正面から突っ込めば、即座に飲み込まれて終わりだ。
(冷静に……落ち着け……観察しろ……!)
脳裏に浮かんだのは、今までの戦い。
小さなスライム、群れるラット。
それらを倒せたのはただ力任せじゃなく、敵の「動きの癖」を見抜いたからだった。
(そうだ……こいつにも、必ず隙があるはずだ!)
トリスは木剣を握り直し、深く息を吸った。
鼓動が早鐘のように鳴り響く。
恐怖を押し込め、その目はまっすぐに巨体を捉えていた。
「俺は、負けない!」
再び、ビッグスライムが突進してくる。
酸を撒き散らしながら迫る巨塊。
少年と怪物の距離は、あっという間にゼロへ縮まった。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。