街に広がる噂と新たな依頼
夜が明け、王都の空は澄んでいた。
だが街路を歩けば、昨夜の戦いの痕跡がまだ色濃く残っている。
広場では兵士が負傷者を運び、神殿では祈祷と治療が続いていた。
それでも人々の表情には、恐怖だけでなく「守られた安堵」が混じっていた。
「昨日の奴らだろ……あの五人」
市場を歩くと、そんな声が耳に入った。
「ゴブリンキングを倒したって……本当か?」
「ギルドに記録が貼られてたぞ。《風切りの羽》って名前だった」
振り返ると、子どもたちがこちらを見て小声で囁き合っている。
「ゴブリンの王をやっつけたんだって!」
「すごい……でもちょっと怖そう」
「違うよ、昨日お菓子くれた人だ!」
そう言って手を振る子もいて、思わず頬が緩んだ。
⸻
ギルドに向かうと、すでに冒険者たちがざわついていた。
掲示板の前には群衆が集まり、例の紙を指さして口々に語っている。
「マジで《風切りの羽》がやったのかよ」
「まだ若造にしか見えねえのに……」
「いや、ゴブリンキング相手なら運だけじゃ無理だ。実力もあるってことだ」
俺たちが扉をくぐると、一斉に視線が集まった。
一瞬の静寂の後、誰かが声を上げた。
「おい、来たぞ! 《風切りの羽》だ!」
視線の重みは緊張を伴ったが、その中には尊敬も混じっていた。
「おはようございます!」
カウンターのナナミが両手を振った。
昨日よりもずっと明るい笑顔だ。
「昨日の報酬はすでに準備してあります。それと……王宮から伝達が」
「王宮?」
ルークが眉を上げる。
「はい。防衛戦での功績により、《風切りの羽》を正式に呼び出したいとのことです」
仲間全員が一瞬息を呑んだ。
ギルドの中にざわめきが広がる。
「やっぱり来たか……」
「褒賞か? いや、爵位の話も……」
「まだ若いのにすげえな」
ナナミは小声で付け加えた。
「王都全体の防衛戦ですから……きっと何らかの褒賞があるはずです」
⸻
その後、俺たちは一度依頼掲示板を眺めた。
討伐依頼の紙は一気に減り、代わりに復興や護衛の依頼が並んでいた。
「橋の修繕の警護」「輸送路の安全確保」「村の復旧支援」……。
「戦は終わったけど、街の仕事は増えるんだな」
ディルが呟く。
「だからこそ冒険者の出番だ」
ルークが腕を組む。
「俺たちの選択次第で、人の暮らしが少しでも楽になる」
アリアが紙を一枚抜き取った。
「これ。孤児の保護を兼ねた郊外村の護衛依頼」
「……孤児?」
俺が問い返すと、アリアは頷いた。
「昨日の孤児院の子たちを見て、無視できなくなった」
「行こう」
気づけば俺は即答していた。
⸻
そのとき、ナナミが声をかけてきた。
「すぐに出るんですか? それなら、王宮への呼び出しの件……先にギルド長に会ってください」
俺たちは顔を見合わせ、頷き合った。
王都の防衛戦は終わった。
だが、これからまた、新しい物語が始まるのだと全員が感じていた。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




