表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
小さな一歩、大きな始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/280

帰還、名がひとつ増える日

森を抜けたとき、夕陽が目に沁みた。

その光は温かさよりも重さを帯び、戦場の血と煙の匂いを鮮やかに蘇らせる。

俺たちの耳には、いまだに咆哮と剣戟の余韻が残っていた。


「……戻ってきたんだな」

ルークが深く息を吐き、肩の盾を背負い直す。

砕けかけた鉄板は、戦いの記録そのものだった。


「それ、もう使えないね」

アリアが盾を見て言う。

「でも最後まで持ちこたえてくれた」


「お前が守ってくれたからだろ」

俺が言うと、ルークは苦笑して空を見上げた。


「指、見せて」

アリアが俺の手を取る。皮膚は裂け、血がにじんでいた。

「痛いでしょ」


「平気。これくらいなら」


「黙って塗る」

ミーナが薬草の膏を差し出し、指先に塗りつけた。

ひやりとした冷たさに顔をしかめると、ディルが笑う。

「痛いってのは、生きてる証拠だ」



王都の東門に近づくと、街のざわめきが風に混じった。

見張り台には兵士だけでなく市井の人々まで詰めかけ、俺たちの列を見つけた瞬間、声が上がった。


「帰ってきた!」

「討伐隊が戻った!」


子どもが泣きながら手を振り、母親が赤子を抱えたまま膝をついて兵士に頭を下げる。

「ありがとう……ありがとう……!」


鐘が打ち鳴らされた。

それは勝利の鐘ではない。

「守り抜かれた」ことを告げる重い響きが、王都全体に広がった。


俺たちは胸を張ることもできず、ただその声と涙に押されるように門をくぐった。



冒険者ギルドの扉を押すと、空気が張り詰めていた。

依頼掲示板の前に集まった冒険者たちが一斉に振り返る。

沈黙の視線が突き刺さる。


「《風切りの羽》さん!」

カウンターからナナミが飛び出してきた。

大きな瞳が潤み、声が震えていた。

「無事で……本当に……!」


ミーナが杖を掲げる。

「傷は癒した。……でも、甘いもの」


空気が少し和らぎ、ナナミは涙を拭った。

「証拠は……?」


アリアが布袋を差し出す。

黒光りする『王冠骨』が姿を現した瞬間、ギルド全体が凍りついた。

「……キング?」

「信じられねえ……」


ナナミは震える手でそれを抱え込み、声を張り上げた。

「査定室を開けます! ギルド長を呼んで!」



白石の台に王冠骨が置かれ、職人が息を呑んだ。

「本物だ……君たちが?」


「俺たち五人で」

ルークが静かに答える。


やがてギルド長が現れ、厳しい目で一人ひとりを見渡した。

「儀礼は必要だ。名を」


「ルーク」

「ディル」

「ミーナ」

「アリア」

「……トリス」


名を告げるたび、ギルド長は頷き、低く言った。

「覚えた。《風切りの羽》五人。その名は今日から王都の記録に刻まれる」


その場にいた全員が、重みを理解した。

ざわめきはなく、ただ静かな圧が漂った。



夜、ギルドの掲示板に新しい紙が貼られた。


《王都東方防衛戦》記録

討伐:ゴブリンキング一体

戦果:森の魔物群退却

記録:冒険者パーティ《風切りの羽》

(ルーク/アリア/ミーナ/ディル/トリス)

参照:王冠骨提出済

――ギルド長


「覚えろ。《風切りの羽》だ。ゴブリンの王を討った五人の名だ」

誰かの呟きが広がり、静かな誓いとなった。



ギルドの片隅でナナミが皿を抱えて戻ってきた。

「……これは私から」

肉の串、煮込み、焼き菓子。どれも湯気を立てている。

「戦った人への、せめてものお礼です」


「やった」

ミーナが手を伸ばし、ディルも同時に。

「甘いもの先な」

「いや、肉だろ」

「……両方」

小さな笑いがこぼれた。



食事を終えると、俺はナナミに頼んだ。

「焼き菓子を包んでくれる?」


「孤児院へ、ですね」

ナナミは微笑み、蜂蜜を多めにして渡してくれた。


孤児院に戻ると、メリサ院長が迎えてくれた。

「まあ、トリス……そして皆さんは?」


ルークが一歩前に出る。

「俺たちは《風切りの羽》。トリスの仲間だ」


「そう……仲間なのね。ありがとう」

メリサは深く頭を下げた。


子どもたちが駆け寄り、焼き菓子を抱えて笑顔を見せる。

ルークは盾を誇らしげに、アリアは剣を撫でさせ、ミーナは菓子を分け、ディルは紙細工を折って見せる。

その輪の中で俺は小刀を子どもに握らせた。鞘ごしに。

「ちっちゃい!」

「僕も、まだちっちゃいから」


笑い声が溢れ、戦場の記憶がわずかに遠のいた。



夕暮れ、孤児院を出て石畳を歩く。

西の空は赤く、街のあちこちで「森」「防衛」「五人」という言葉が囁かれていた。


アリアが小声で聞く。

「見ておく? 今日は“時々”の日」


俺は頷き、意識を掌に落とす。


――――――

名前:トリス


スキル:

・《鑑定》 Lv2【レア】

・《スキル詐奪》 Lv2【レジェンド】


サブスキル:

・《観察眼》 Lv2【アンコモン】

・《人心掌握》 Lv2【コモン】


スキル一覧:

・《体捌き》 Lv3【コモン】

・《基礎剣術》 Lv3【コモン】

・《石投げ》 Lv4【コモン】

・《威圧》 Lv2【コモン】

――――――


(……確かに、強くなった)


「どう?」

「少し、強くなった」


アリアは微笑んだ。

「それなら眠れる」


「その前にお風呂」

ミーナの一言に、また笑いが生まれた。

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ