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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
蒼き都、動き出す

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紅き波、再び洞へ

このまま、1日2話更新で年内走り抜けますが、更新の時刻はまちまちになります。すみません。

読んでくださる方々ありがとうございます。どうか顔文字の評価ボタンか★マークを押してもらえるとありがたいです。

 朝のハルトンは、蒼晶塔の光で染まっていた。

 いつもの朝よりも淡く、そして少しだけ赤い。

 それは、前夜に観測された「紅晶化」の兆候。

 ミーナの研究報告が、街中に緊張を走らせていた。


「やっぱり塔の反応、収まらないのね」

 ミーナが報告書を閉じ、ため息をつく。

「蒼晶の波長が揺れてる。まるで誰かが、下から引っ張ってるみたい」

「つまり……紅晶の根は、まだ地中にある」

 トリスが腕を組む。

「このまま放置すれば、いずれ塔そのものが紅に染まるかもしれない」


 アリアが弓を肩に担ぎ、笑う。

「結局、行くんでしょ? あんた、もう目が戦いモードだもん」

「……否定はしない」

 トリスは微笑んだ。

「紅晶化が進めば、魔物の性質も変わる。早めに止めないと手遅れになる」

「ルメナ、どう思う?」

 ミーナが問いかけると、肩の上の海竜が小さく“キュルッ”と鳴いた。

 その瞳が淡く光る。――“行こう”と言っているように。


 ノクスが影の中から姿を現し、尻尾を揺らす。

 アージェが低く唸り、準備万端の空気が漂う。


「よし、決まりだな」

 トリスは刀《繋》の柄に手を置いた。

「次の目的は紅晶の発生源。

 おそらく、蒼晶の成長を歪めている“異質核”の除去だ」


 ミーナが頷く。

「紅晶は蒼晶の“影”のような存在。

 だから、根を断てば必ず蒼は戻る」


 アリアが軽く拳を打つ。

「んじゃ、さっさと行こうか。“ダンジョン再突入”、ね」

「今度は紅晶の根まで辿り着く」

 トリスの瞳に、決意の光が宿った。



 ダンジョン入口。

 蒼晶の光が霧の中でゆらめき、地響きのような鼓動を響かせている。

 その奥から、かすかに赤い影が混じって見えた。


「……やっぱり、広がってる」

 ミーナが呟く。

「紅晶が蒼晶を喰ってる。――もう、時間がない」

 トリスは深く息を吸い、仲間たちを見渡した。

「行こう。第41層、原因を見つけるぞ!」


 刀を抜く。

 稲光が走り、霧を裂いた。

 ノクスが影へ溶け、アージェが前へ踏み出す。

 ルメナの光が頭上を舞い、蒼と紅の境界を照らした。


「ハルトンの蒼を護るために」

 トリスが言い、足を踏み出す。

 紅の輝きが迎え撃つように揺れた。



 背後で、蒼晶塔が一度だけ脈動する。

 街の空に蒼と紅が交じり合い、

 まるで新たな時代の幕開けを告げるように。

応援ありがとうございます!

皆さんのブクマや評価が更新の大きな力になっています!٩( 'ω' )و

「次話も楽しみ!」と思っていただけたら、ポチっとお星★様を押してもらえると嬉しいです!

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