訓練成果とスキル開花
訓練場の空気は、いつも土埃と汗の匂いで満ちていた。
木剣を打ち合わせる音が絶え間なく響く。
「遅い、次!」
アリアの剣が鋭く振り下ろされる。
トリスは必死に受け止めるが、力負けして後ろに倒れ込んだ。
「くっ……!」
砂を噛むように地面を睨み、すぐに立ち上がる。
「もう一度!」
木剣を構え、何度も挑む。
腕は震え、肩は重く、指の皮が擦り切れて痛む。
それでも諦めなかった。
アリアは容赦なく振るう。
「守るだけじゃ意味がない。攻める意思を見せろ」
「はいっ!」
拙いながらも打ち返し、少しずつ刃筋が通り、足の踏み込みが安定してきた。
⸻
次の相手はディルだった。
軽快なステップで前後左右に動き、隙を狙って突きを繰り出す。
「ほらほら、止まるな!」
「うわっ……!」
トリスは必死に足を運ぶ。最初はつまずき、転び、地面に打ちつけられた。
だが何度も繰り返すうちに、身体が覚えてきた。
(そうだ……前のゴブリン戦でも、必死に避けてた。あのとき身をよじって攻撃を外した感覚……!)
腰を落とす、膝を柔らかくする――。
それだけで踏み込みも退きも軽くなる。
「おっ……今の避け方、良かったじゃねぇか!」
ディルが笑った瞬間、脳裏に光が走った。
――《スキル〈体捌き〉Lv1 を取得しました》
「……っ!」
足が軽い。今まで必死に回避してきた経験が、ようやく“力”になった感覚。
「ほう、覚えたか」
ルークが目を細めて頷く。
「体捌きは剣の基礎。これが身につけば次の段階に進める」
⸻
訓練の終盤、ルーク自らが木剣を手に取った。
「次は俺が見る。構えろ」
緊張で喉が鳴る。
トリスは木剣を握りしめ、正面に立った。
「斬るとは何か。守るとは何か。基礎を体に叩き込め」
一太刀目。重い。腕が痺れる。
二太刀目。足がぶれる。
三太刀目。汗が目に入り、視界が滲む。
(森でも、孤児院でも……何度も木剣を振った。あのときは無駄だと思った。でも今は違う。全部積み重なってる!)
数百回、数千回。
ただ木剣を振り続けた。
――《スキル〈基礎剣術〉Lv1 を取得しました》
視界の端にログが浮かび、全身に電流のような感覚が走る。
剣を振るう重さが、ほんの少しだけ軽くなった。
「……よし」
ルークが頷いた。
「形になってきたな。これからが本当の鍛錬だ」
⸻
休む間もなく、再びアリアが相手に立った。
木剣の打ち合いの最中、彼女の肩がわずかに揺れた瞬間を捉える。
(来る!)
反射的に木剣を合わせた。
ガキン、と鋭い音が響き、アリアの刃を受け止める。
「……今のは、狙って?」
アリアが目を細める。
「たぶん……見えたんです。動きが」
(そういえば……ホブゴブリンの時も、肩の沈み込みを見て投石を当てた。ずっと観察して、考えて……それが今、形になったんだ!)
――《スキル〈洞察眼〉Lv1 を取得しました》
呼吸は荒いのに、視界は妙に鮮明だった。
肩の動き、腰の重心、足の踏み込み――すべてが手に取るように見える。
「なるほど。観察が力になったわけだ」
アリアが小さく笑った。
「悪くない」
⸻
訓練が終わる頃、トリスは地面に座り込み、汗で全身が濡れていた。
だが瞳は強く輝いていた。
ルークがまとめるように言った。
「今日で、お前は三つのスキルを得た。努力の結果だ」
•《体捌き》Lv1
•《基礎剣術》Lv1
•《洞察眼》Lv1
「これが、僕の……」
小さく呟き、小刀の柄を握った。
(努力は無駄じゃない。積み重ねは必ず力になる。次はこの力で、仲間を守る!)
夜風が吹き抜け、乾いた汗を冷やす。
その冷たささえ、心地よかった。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




