森に潜む群れ
昼前。
王都西の森に足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。
頭上は木々の枝葉で覆われ、ところどころ差し込む光が地面にまだら模様を作る。
「ふー……空気が重いな」
ディルが短剣を抜きながら呟いた。
「群れが動いてる。……匂いも濃い」
アリアが低く言い、剣の柄に指をかける。
ルークは真剣な顔で一行に指示を飛ばした。
「今日は調査が目的だ。数を確認しつつ、遭遇したら倒す。ただし深追いは絶対にするな」
「了解」
ミーナが頷き、トリスも緊張した声で「はい」と答えた。
木剣を握る手に汗が滲む。
(ゴブリンは前に戦った……でも、今回は“群れ”。一体一体の強さより、数の方が脅威だ)
⸻
草むらがざわりと揺れた。
次の瞬間、緑色の小柄な影が五体飛び出してくる。
「来るぞ!」
ルークの声に、全員が構えを取った。
ディルが真っ先に突っ込み、短剣で一体の腹を刺す。
だが勢い余って姿勢が崩れ、別のゴブリンに狙われた。
「ディル、下がって!」
ミーナが叫び、短詠唱の〈ファイアボルト〉が弾ける。小さな火球がゴブリンの顔をかすめ、突進が止まった。
「うおっ……助かった!」
ディルが息をつく。
アリアは弓を構え、矢を二本続けざまに放った。二体が足を止めた瞬間、弓を背に回して剣を抜き、前へ踏み込む。
残りの一体をルークが斬り伏せた。
短い戦闘だったが、全員の肩が大きく上下していた。
「……数は五。だが群れの先触れにすぎないな」
ルークが剣を拭いながら呟く。
⸻
さらに森の奥。
今度は十を超える影がぞろぞろと現れた。
「数が多い!」
ミーナが声を上げ、全員が一斉に後退する。
「囲まれるな! 背を合わせろ!」
ルークの指示で輪を作る。
ゴブリンたちが叫び声を上げながら突っ込んできた。
「はあっ!」
ディルが短剣を振るい、一体を倒す。だがすぐに別の個体が飛びかかってくる。
「くそっ、数が多すぎる!」
トリスは必死に木剣を振るい、一体を払いのけた。
その瞬間、別の個体が背後に回り込もうとする。
「トリス、右!」
アリアの剣が閃き、背後のゴブリンを斬り倒した。
「ありがとうございます!」
⸻
乱戦の中、トリスの目に一体のゴブリンが映った。
――片足をかばっている。動きが鈍い。
(あれなら……!)
トリスは小刀を抜き、木剣で牽制してから素早く腰を狙った。
刃がすっと入り、動きが止まる。
「よし!」
すぐにルークが追撃を加え、とどめを刺す。
「いい目だ、トリス!」
ルークが叫ぶ。
胸が熱くなった。
(僕でも……役に立てる!)
⸻
やがて残りは二体となり、アリアとミーナが協力して仕留めた。
静寂が戻り、全員が荒い息をついた。
「……十数体でこの消耗。群れ全体はもっといる」
ルークが険しい顔で言った。
「うん。今の私たちじゃ、深入りすれば危険」
ミーナが肩で息をしながら答える。
「調査は十分だ。今日はここまでにする」
ルークの判断に、全員が頷いた。
トリスは小刀を見下ろした。
(小さな刃でも……確かに役に立った。次は、もっと大きな力を……!)
森の奥から、まだ見ぬ群れの声が響いた。
それは、これからの戦いの重さを告げているようだった。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




