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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
蒼海に生まれた絆 ― 小さな竜

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北の封域 ――氷の眠り、揺らぐ

評価ポイント押してもらってたり、最後に親指グッドとかの数が増えてたり、ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。

 王国最北端。

 果てしなく続く白の大地ノースエンド


 千年のあいだ、誰も踏み入れぬ地。

 氷に覆われた山脈は“永久凍結の壁”と呼ばれ、

 人の手が届かぬ聖域として伝承に語られてきた。


 風は息を止め、雪すら降らない。

 ただ、静寂だけが世界を支配している。


 だが、


 その静寂に、わずかな“揺らぎ”が生まれた。


 氷床の奥。

 太古から閉ざされていた大洞窟の奥底で、

 凍結した湖面が、ひと筋の“ひび”を刻む。


 ぱきん。


 小さな音が、まるで心臓の鼓動のように大地へ響く。

 次の瞬間、氷の下の“何か”がわずかに身じろぎした。


 封印の符が淡く光を放つ。

 それはかつて、かつての王族達の誓約を封じた“霊印”。

 長き眠りを保つはずだったその魔法陣に、

 今、知らぬ力が干渉していた。


 氷の下、そこに在るのは巨大な輪郭。

 山よりも大きな翼。

 金属のような青鱗が、かすかに呼吸していた。


 《氷竜グラシアル


 数百年前、各国の烈氏が世界を護るために眠らせた存在。

 世界の温度を司る“氷の理”。

 それが、いま、夢の底から、目を開けようとしていた。



 空は曇り、星が瞬かない。

 風が止まり、雪片が浮かんだまま凍りつく。


 そして、遠くの空気がひとつ震えた。

 氷の山を貫くような、低い音。


 ごぉぉぉぉ……。


 それは咆哮か、息か。

 世界のどこにもない音だった。

 空気が重く、冷たく、張りつめていく。


 氷床の下、巨大な瞳がゆっくりと開く。

 蒼白の光が走り、封印の符がひとつ、音もなく消えた。


 氷が鳴く。

 山がきしむ。

 世界が息を詰める。


 その震えは、まだ誰も知らない。

 けれど確かに――王都の魔導塔まで届いていた。

 澄み渡った水鏡が淡く揺れ、記録士たちは顔を見合わせる。


「……封域が、反応した?」


 誰かの呟きが、夜を貫く。


 北の地で始まる“何か”を、誰も止められはしなかった。

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