北の封域 ――氷の眠り、揺らぐ
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王国最北端。
果てしなく続く白の大地。
千年のあいだ、誰も踏み入れぬ地。
氷に覆われた山脈は“永久凍結の壁”と呼ばれ、
人の手が届かぬ聖域として伝承に語られてきた。
風は息を止め、雪すら降らない。
ただ、静寂だけが世界を支配している。
だが、
その静寂に、わずかな“揺らぎ”が生まれた。
氷床の奥。
太古から閉ざされていた大洞窟の奥底で、
凍結した湖面が、ひと筋の“ひび”を刻む。
ぱきん。
小さな音が、まるで心臓の鼓動のように大地へ響く。
次の瞬間、氷の下の“何か”がわずかに身じろぎした。
封印の符が淡く光を放つ。
それはかつて、かつての王族達の誓約を封じた“霊印”。
長き眠りを保つはずだったその魔法陣に、
今、知らぬ力が干渉していた。
氷の下、そこに在るのは巨大な輪郭。
山よりも大きな翼。
金属のような青鱗が、かすかに呼吸していた。
《氷竜》
数百年前、各国の烈氏が世界を護るために眠らせた存在。
世界の温度を司る“氷の理”。
それが、いま、夢の底から、目を開けようとしていた。
⸻
空は曇り、星が瞬かない。
風が止まり、雪片が浮かんだまま凍りつく。
そして、遠くの空気がひとつ震えた。
氷の山を貫くような、低い音。
ごぉぉぉぉ……。
それは咆哮か、息か。
世界のどこにもない音だった。
空気が重く、冷たく、張りつめていく。
氷床の下、巨大な瞳がゆっくりと開く。
蒼白の光が走り、封印の符がひとつ、音もなく消えた。
氷が鳴く。
山がきしむ。
世界が息を詰める。
その震えは、まだ誰も知らない。
けれど確かに――王都の魔導塔まで届いていた。
澄み渡った水鏡が淡く揺れ、記録士たちは顔を見合わせる。
「……封域が、反応した?」
誰かの呟きが、夜を貫く。
北の地で始まる“何か”を、誰も止められはしなかった。
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