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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
蒼海に生まれた絆 ― 小さな竜

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夜明けの決意

評価ポイント押してもらってたり、最後に親指グッドとかの数が増えてたり、ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。

 王の間を出た時、まだ夜は明けていなかった。

 聖翼の都エルディア――王国の心臓。

 塔の上で光る魔導灯が、まるで星の残り火のように瞬いていた。


 胸の奥で、何かが静かに燃えていた。

 それは驚きでも怒りでもなく、“繋がった”という確かな感覚。

 俺の中で、これまで点だったものが線になった気がした。


「父が……帝国の皇弟で、母が王妹、か」

 口にしても、まだ実感がない。

 孤児院で過ごした少年の頃の俺が、それを聞いたら笑っていただろう。

 ――けれど今なら、受け止められる。


 あの人が言っていた。

 『力とは血筋のためにあるものではない。“守る”と決めた瞬間に、それが本物になる』


 なら、俺はもう迷わない。


 ルメナが肩で小さく鳴いた。

 その体温が、妙に温かい。

 まるで母親の手に触れたような、柔らかなぬくもり。


「……ありがとな、ルメナ」

 軽く頭を撫でると、“キュルッ”と鳴いて目を細めた。



 王都の外門に着くと、朝靄が漂っていた。

 ミーナとアリアが門の前で待っていた。

 ノクスは石畳の上で尻尾を揺らし、アージェは欠伸をひとつ。


「遅かったじゃない」

 アリアが腕を組んで睨む。

「王様に呼ばれてたんでしょ? ついにあの話かな?」

「……ちょっと、昔話を聞いてきた」

「ふーん、“雷伯様”にも昔話があったとはね」

 アリアが茶化す。

 けれど、その笑いに救われた。


「北行きの支度は済んでるわ」

 ミーナが書簡を差し出す。

「王都宰相府発行、氷原通行証。陛下から直接の任命……あなた、本気で行くのね」

「ああ。北の封域、異変の調査だ。

 それに――答えを見つけたい」


「答え?」

「俺が、この力を何のために持ってるのか」


 ミーナは少しだけ微笑んだ。

「……そっか。じゃあ、ちゃんと帰ってきて。今度は“辺境伯”として、ね」


 ノクスが“にゃ”と鳴き、アージェが軽く吠えた。

 朝靄の向こう、ハルトンへ続く道が見える。


「行こうか」

 俺は刀《繋》の柄を軽く叩いた。

 その音が合図になり、ルメナの翼がふわりと広がる。

 蒼い光が霧を払い、朝の光が道を照らした。


 王の秘密を知った夜のあと、

 俺たちはもう一度、冒険者として――いや、“領主としての使命”を背負って、歩き出した。

応援ありがとうございます!

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