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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
戦火の港湾

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雷神と二刀の刃

評価ポイント押してもらってたり、最後に親指グッドとかの数が増えてたり、ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。

 蒼の夜、潮風が静かに港を撫でていた。


リヴェール港


二度の侵攻を退けた街は、いまや戦場から軍都へと姿を変えつつある。


昼の喧騒は去り、代わりに夜の灯が揺れている。

桟橋には鍛冶師たちが夜通し槌を振るい、修復された艦船が一隻ずつ波を割って出航の準備を進めていた。

造船区の灯りが海面に滲み、まるで星が海に降りたようだ。


トリスは港の見張り塔からそれを見下ろしていた。

王命によって正式に南方総指揮を任されているその夜、彼は初めて、自分の責任の“重さ”を全身で感じていた。


「……これが、王国を動かすということか」


呟きに、背後から軽やかな声がした。

「そんな難しい顔、似合わないわよ。」


振り返ると、アリアが手にパンの包みを持って立っていた。

戦場用の軽食

焼いた魚と干し肉の香りが夜風に混じる。


「食べないと、倒れるわよ。」

「心配性だな。」

「経験から言ってるの。」

アリアは軽く笑い、隣に腰を下ろした。

港の灯が二人の頬を照らし、潮騒の音が遠くで鳴っていた。


しばらく沈黙。

その間にも、港では兵たちが木箱を運び、弓を整え、魔導士たちが詠唱練習を続けている。

夜でさえ眠れぬ都市

それが今のリヴェールだった。


「王都でも“雷神”って呼ばれてるらしいわね。」

アリアが口を開く。

トリスは苦笑し、肩をすくめた。

「ありがたいような、恥ずかしいような。俺はただ、必死だっただけだ。」

「必死で港を守った英雄。それでいいじゃない。」

「英雄なんて言葉、柄じゃないさ。」


「そう? あのときのあなた……本当に雷神様のようだった。」

アリアは遠くの海を見つめた。

「恐ろしくて、でも綺麗だった。

 敵の船が沈んでいくのを見ながら、あぁ、この人は “戦場を支配してる”って思った。」


トリスは言葉を失った。

静かな波音が、彼女の言葉を包むように続く。


「……支配なんてしてない。ただ、守りたかっただけだ。」

「そうね。でも、“守るために支配できる人”なんて、そうはいないわ。」


アリアの声は穏やかだった。

その瞳には、かつての戦場よりも柔らかな光が宿っている。


「ねぇ、トリス。」

「なんだ。」

「トリスは、怖くないの?」

「どうして?」

「次の戦い。相手は、もう一国の全力よ。」


トリスは少し考え、海に目をやった。

波が暗い鏡のように揺れ、港の灯がその表面を走っていく。


「怖いさ。」

正直な言葉だった。

「怖い。でも、それ以上に“負ける理由”がない。」


アリアが目を細めた。

「理由?」

「民が俺を信じてる。

 仲間が俺の隣にいる。

 そして……守りたい顔がある。」


その一言に、アリアの頬がわずかに紅く染まった。

だが、すぐにいつものように笑って肩を小突く。


「……そういうこと、簡単に言うのね。」

「事実だろ。」

「バカ。」


短く笑い合ったその瞬間、遠くで港の鐘が鳴った。

補給隊の出発を告げる音だ。

夜の海を行く船影が、ひとつ、またひとつと沖へ消えていく。


アリアが立ち上がった。

「さ、指揮官殿。そろそろ休みなさい。

 あんたが倒れたら、誰もついていけなくなる。」


「そう言うお前は?」

「私は見回り。寝るのは朝。」

「ほんとにタフだな。」

「それが私の仕事でしょ。」


アリアは笑い、二刀の柄を軽く叩いた。

「次は“終戦”の戦い。あなたが道を照らすなら、私はその隣で斬る。」


「頼りにしてる。」

「当然。」


風が吹き抜け、アリアの髪が光の帯のように揺れた。

その姿を見送りながら、トリスは静かに刀《繋》を見つめる。


蒼い光が、刃の奥で淡く脈動していた。

まるで雷が、次の嵐を待ちわびているかのように。


「……すぐに行くさ。」


呟きは、波にかき消された。

だが確かに、夜空のどこかで雷鳴が答えた気がした。


南方決戦前夜。

静寂の中に、嵐の気配が芽吹いていた。


評価してもらえると、とってもとっても嬉しいです!

初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。

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