雷神、嵐を呼ぶ
ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
海鳴りが、轟いた。
沖の艦列が火を噴く。
無数の砲弾が海を割り、波を焼き、浜を叩き潰した。
「全員、伏せろッ!」
トリスの叫びと同時に、銀の光が港を覆う。
アージェの《魔障壁》。
炎と鉄の嵐が襲いかかるが、銀膜に弾かれ、爆ぜた火花が雨のように降り注ぐ。
「くっ……防ぎきれない!」
アリアが歯を食いしばりながら叫ぶ。
障壁の外側では、海が沸き立つように白く泡立っている。
だが、トリスは前を見据えたままだ。
(まだ“陸”には上げさせない)
掌をかざす。
魔力が奔流のように走り、海面に散る鉄片が一斉に震えた。
《電磁誘導》再展開!
海風が青白く光り、電撃が幾筋も走る。
砲弾の金属が途中で引き寄せられ、爆ぜずに海へ沈んだ。
磁場のうねりが敵船の羅針盤を狂わせ、船首が互いにぶつかる。
「な、なんだ!? 舵が効かねぇ!」
「進路を……制御が……っ!」
混乱が広がる中、トリスの瞳が淡く光った。
《情報網》から流れ込む数十の視界。
港の各地、防壁、後方の兵、負傷者――すべての動きが頭の中に展開される。
「アリア、右翼へ。ノクス、左舷の上陸阻止。アージェは俺と中央を守れ」
「了解!」
「ニャ!」
「ワン!」
仲間が散る。
その動きに合わせて、トリスは再び海へ掌を向けた。
「引力、最大出力!」
轟音。
潮流が逆巻き、波が敵船を飲み込むように逆流した。
巨大な渦が生まれ、上陸用舟を吸い込んでいく。
「ぎゃああっ!」
「船がぁー船が沈む!」
海が叫び、人が叫ぶ。
その中で、アリアの双剣が閃いた。
波を蹴り、空を斬る。
その一撃は、敵将の兜を真っ二つにした。
「こっちは片付いたわ!」
「上出来だ!」
トリスが頷き、刀《繋》を抜く。
電気の奔流が刃を這い、磁力が空気を震わせた。
目の前に迫る侯国兵、黒鉄の鎧、重盾を構えた突撃部隊。
「押し通れぇッ!」
怒号と共に鉄の波が迫る。
(なら、押し通せない力を見せてやる)
トリスは膝を落とし、刀を水平に構えた。
「斥力展開!」
バシュッ!
青白い爆音。
目には見えぬ力場が弾け、突撃してきた兵たちが一斉に吹き飛ぶ。
盾ごと、鉄ごと、数メートル後方へ。
「な、なんだ……この圧はっ!」
その瞬間、ノクスが影から飛び出した。
「ニャッ!」
黒い閃光が敵の喉を裂き、再び影へと消える。
アージェが咆哮を上げた。
《咆哮》士気上昇。
兵たちが息を吹き返すように叫びを上げ、前線を押し戻す。
「押せぇぇぇッ!」
レオンの声が響く。
「王国の旗を守れ! 雷神殿が道を開けてくださるぞ!」
「雷神殿、だと……?」
トリスは苦笑する。
「また変な名前を……」
「もう定着してるみたいよ」
アリアが冗談めかして返した。
だが笑っていられる時間は短かった。
再び沖で火柱が上がる。
第三波、砲撃艦隊の本隊。
それが湾内へ侵入し始めた。
「くそ……ここまで来るか」
トリスの額に汗が滲む。
魔力の消耗が激しい。
《電磁誘導》は出力を上げるほど、魔力を食う。
「トリス、下がって!」
アリアの声。
「無理だ。ここで止めないと港が焼かれる!」
彼の足元で、蒼い火花が連鎖的に弾けた。
空気が震え、金属の鳴動が広がる。
「……もう一度だけだ。全部まとめて止める!」
彼の周囲に稲光が奔り、刀が輝いた。
それはまるで、雷そのものを握ったような光景。
「電磁誘導!斥力最大、放出ッ!!」
閃光が世界を白く塗り潰した。
次の瞬間、轟音と共に敵艦隊の前列が海ごと弾き飛ぶ。
鉄が軋み、帆が焼け、海風が炎の匂いを運んだ。
「ひ、ひぃっ……化け物だ……!」
「退けぇっ! あんな奴と戦えるか!」
敵兵の士気が崩れ、撤退の号笛が鳴った。
波打ち際には、焼け焦げた帆と折れた槍が転がる。
やがて
静寂。
戦場に残ったのは、潮風と稲光の残滓だけだった。
トリスは刀を地に突き、息を吐いた。
「……ふぅ、やりすぎたかもな」
「今の一撃、海が割れたわよ」アリアが呆れたように笑う。
「雷神様、港を焦がす勢いだったわ」
「……からかうなよ、その名前」
ノクスが「ニャ」と短く鳴き、アージェが低く唸る。
その視線の先の沖合。
黒煙の向こう、なお一隻の巨艦が静かに残っていた。
甲板に立つ、黒鉄の巨影。
バルド。
一度は退いた戦鬼が、再び姿を見せた。
「……次は、俺が出る番か」
低く響く声が波に混じる。
トリスはその気配を感じ取り、ゆっくりと刀を握り直した。
「来るか……戦鬼バルド」
海風が止み、空気が重く沈む。
嵐の前の静けさ。
次の瞬間、決戦の予感が戦場を満たした。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




