表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
戦火の港湾

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/279

雷神、嵐を呼ぶ

ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。

海鳴りが、轟いた。

沖の艦列が火を噴く。

無数の砲弾が海を割り、波を焼き、浜を叩き潰した。


「全員、伏せろッ!」

トリスの叫びと同時に、銀の光が港を覆う。

アージェの《魔障壁》。

炎と鉄の嵐が襲いかかるが、銀膜に弾かれ、爆ぜた火花が雨のように降り注ぐ。


「くっ……防ぎきれない!」

アリアが歯を食いしばりながら叫ぶ。

障壁の外側では、海が沸き立つように白く泡立っている。


だが、トリスは前を見据えたままだ。

(まだ“陸”には上げさせない)


掌をかざす。

魔力が奔流のように走り、海面に散る鉄片が一斉に震えた。


《電磁誘導》再展開!


海風が青白く光り、電撃が幾筋も走る。

砲弾の金属が途中で引き寄せられ、爆ぜずに海へ沈んだ。

磁場のうねりが敵船の羅針盤を狂わせ、船首が互いにぶつかる。


「な、なんだ!? 舵が効かねぇ!」

「進路を……制御が……っ!」


混乱が広がる中、トリスの瞳が淡く光った。

《情報網》から流れ込む数十の視界。

港の各地、防壁、後方の兵、負傷者――すべての動きが頭の中に展開される。


「アリア、右翼へ。ノクス、左舷の上陸阻止。アージェは俺と中央を守れ」

「了解!」

「ニャ!」

「ワン!」


仲間が散る。

その動きに合わせて、トリスは再び海へ掌を向けた。


「引力、最大出力!」


轟音。

潮流が逆巻き、波が敵船を飲み込むように逆流した。

巨大な渦が生まれ、上陸用舟を吸い込んでいく。


「ぎゃああっ!」

「船がぁー船が沈む!」


海が叫び、人が叫ぶ。

その中で、アリアの双剣が閃いた。

波を蹴り、空を斬る。

その一撃は、敵将の兜を真っ二つにした。


「こっちは片付いたわ!」

「上出来だ!」


トリスが頷き、刀《繋》を抜く。

電気の奔流が刃を這い、磁力が空気を震わせた。


目の前に迫る侯国兵、黒鉄の鎧、重盾を構えた突撃部隊。

「押し通れぇッ!」

怒号と共に鉄の波が迫る。


(なら、押し通せない力を見せてやる)


トリスは膝を落とし、刀を水平に構えた。

「斥力展開!」


バシュッ!

青白い爆音。

目には見えぬ力場が弾け、突撃してきた兵たちが一斉に吹き飛ぶ。

盾ごと、鉄ごと、数メートル後方へ。


「な、なんだ……この圧はっ!」


その瞬間、ノクスが影から飛び出した。

「ニャッ!」

黒い閃光が敵の喉を裂き、再び影へと消える。


アージェが咆哮を上げた。

《咆哮》士気上昇。

兵たちが息を吹き返すように叫びを上げ、前線を押し戻す。


「押せぇぇぇッ!」

レオンの声が響く。

「王国の旗を守れ! 雷神殿が道を開けてくださるぞ!」


「雷神殿、だと……?」

トリスは苦笑する。

「また変な名前を……」

「もう定着してるみたいよ」

アリアが冗談めかして返した。


だが笑っていられる時間は短かった。

再び沖で火柱が上がる。


第三波、砲撃艦隊の本隊。

それが湾内へ侵入し始めた。


「くそ……ここまで来るか」

トリスの額に汗が滲む。

魔力の消耗が激しい。

《電磁誘導》は出力を上げるほど、魔力を食う。


「トリス、下がって!」

アリアの声。

「無理だ。ここで止めないと港が焼かれる!」


彼の足元で、蒼い火花が連鎖的に弾けた。

空気が震え、金属の鳴動が広がる。


「……もう一度だけだ。全部まとめて止める!」


彼の周囲に稲光が奔り、刀が輝いた。

それはまるで、雷そのものを握ったような光景。


「電磁誘導!斥力最大、放出ッ!!」


閃光が世界を白く塗り潰した。

次の瞬間、轟音と共に敵艦隊の前列が海ごと弾き飛ぶ。

鉄が軋み、帆が焼け、海風が炎の匂いを運んだ。


「ひ、ひぃっ……化け物だ……!」

「退けぇっ! あんな奴と戦えるか!」


敵兵の士気が崩れ、撤退の号笛が鳴った。

波打ち際には、焼け焦げた帆と折れた槍が転がる。


やがて

静寂。

戦場に残ったのは、潮風と稲光の残滓だけだった。


トリスは刀を地に突き、息を吐いた。

「……ふぅ、やりすぎたかもな」

「今の一撃、海が割れたわよ」アリアが呆れたように笑う。

「雷神様、港を焦がす勢いだったわ」

「……からかうなよ、その名前」


ノクスが「ニャ」と短く鳴き、アージェが低く唸る。

その視線の先の沖合。

黒煙の向こう、なお一隻の巨艦が静かに残っていた。


甲板に立つ、黒鉄の巨影。

バルド。

一度は退いた戦鬼が、再び姿を見せた。


「……次は、俺が出る番か」

低く響く声が波に混じる。


トリスはその気配を感じ取り、ゆっくりと刀を握り直した。

「来るか……戦鬼バルド」


海風が止み、空気が重く沈む。

嵐の前の静けさ。

次の瞬間、決戦の予感が戦場を満たした。

評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!

初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ