依頼達成と小さな指摘
ラットウルフの死骸を後にし、丘陵地を抜けて王都へと戻る道。
陽は傾き始め、茜色が一行の影を長く伸ばしていた。
「ふぅ……予想以上に骨が折れたな」
ルークが剣を担ぎ直し、大きく息を吐いた。
「ほんとだぜ。薬草採取で楽勝かと思ったら、まさかラットウルフ三体とはな」
ディルが苦笑する。
「でも……全員無事でよかった」
ミーナが安堵の息を漏らし、杖を胸に抱いた。
トリスは木剣を握りしめながら、まだ鼓動が早い胸を押さえていた。
(僕……また必死だったけど……少しは役に立てた、のかな)
⸻
夕暮れのギルドは活気に溢れていた。
カウンターに立つ受付嬢リサが、彼らの姿を見て小さく驚く。
「おかえりなさい! 依頼は……無事に?」
「薬草はこの通り。ついでにラットウルフ三体と遭遇したが、なんとか討伐した」
ルークが袋を置き、薬草の束を並べた。
「えっ……ラットウルフ!? 丘陵地に出たんですか?」
リサの表情が強張る。
「そう。依頼より厄介だったけど……全員無事よ」
ミーナが微笑んで答える。
「ラットウルフを三体も……。あなたたち、本当に若いのに大したものですね」
リサは感嘆の声を上げ、報酬袋を差し出した。
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「ふぅ……これでまた腹いっぱい食えそうだ」
ディルが袋を受け取り、嬉しそうに笑う。
「でも……」
ふと、彼の視線がトリスの木剣に向けられた。
「坊主、いつまでその木剣でやるつもりだ?」
「えっ……」
トリスは慌てて木剣を抱えた。
「木剣だから悪いってわけじゃねぇ。ただ、ラットウルフの牙をまともに受けてたら、折れてたぜ」
ルークも頷く。
「確かにな。そろそろ本物の剣を考えてもいいかもしれない」
「……僕に、剣……」
トリスは小さく呟き、木剣を見つめた。
アリアは横で黙ってグラスの水を飲んでいたが、わずかに視線を向けた。
「武器は命を預けるもの。次の一歩を踏み出すなら、ちゃんとした剣を手に入れるべき」
「……はい」
トリスは素直に頷いた。
⸻
仲間たちは笑いながら席に着き、それぞれ食事を頼んだ。
肉の匂いと酒の香りが漂う中、トリスは報酬袋を握りしめる。
(本物の剣……僕にも、そんなものを持つ日が来るんだろうか)
胸の奥に不安と期待が入り混じった熱が灯る。
それは、彼が「孤児院の子ども」から「一人の冒険者」へ踏み出す小さな一歩となっていた。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




