裏切りの天幕
毎日ランクインし、今日は何位かなとワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
夜の海風が冷たく、天幕の布を揺らした。
外では侯国の敗残兵が喧騒を上げている。酒、女、血の臭いが混ざり、焔と叫びが交じる夜。まるで地獄の底のようだった。
その喧騒の奥、豪奢な天幕の中では――王国の貴族、レーン子爵とコルナ男爵の二人が顔を突き合わせていた。
卓上には飲みかけのワインと、転がった葡萄。つい先ほどまで笑い声と歓楽があった場所だ。
「おい、レーン! どういうことだ!」
コルナ男爵が震える声で叫ぶ。
「トリスの領兵は辺境の寄せ集めだと言っていたじゃないか! 侯国の戦鬼バルドが押し負けたぞ!? 嘘じゃないか!」
レーン子爵は眉間を押さえ、静かに答えた。
「……情報は正しかったはずだ。だが奴が、あれほどの術を操るとは――」
「想定できようじゃねぇ!」
コルナは机を叩き、ワインをぶちまけた。
「侯国の連中は怒ってる! 『王国の貴族が嘘を吹き込んだ』ってな!」
「落ち着け」
レーンは低く言った。
「我々は“情報を渡した”だけだ。動いたのは侯国だ。……逃げ道を探すぞ。王都に戻らねば」
「戻れるかよ! このままじゃ俺たちは売られる! “王国の貴族が戦を仕掛けた”なんて話が広まれば、終わりだ!」
コルナは汗を滲ませ、半狂乱に叫ぶ。
彼の頭にあるのは、地位でも誇りでもなく、金と女と贅沢な生活だった。
レーンは瞼を伏せ、苦く笑う。
「……トリス・レガリオン。小僧の名が、我らを地に落とすとはな。英雄とは――皮肉なものだ」
その瞬間、外から怒号が上がった。
「開けろ! 侯国司令部の命令だ!」
二人が息を呑む間もなく、天幕が荒々しく開かれた。冷たい潮風と共に、鎧を纏った兵たちがなだれ込む。
「レーン子爵、コルナ男爵。貴殿らに通達する!」
先頭の兵が声を張り上げた。
「提供された情報が“虚偽”との報告あり! 司令官バルド殿の命により、関係者を拘束する!」
「なっ……何だと!?」
コルナは尻もちをつき、叫ぶ。
「俺たちは協力してやったんだぞ! 情報は……!」
「黙れ!」
怒号と共に机が蹴り飛ばされ、皿が砕けた。
「虚偽を流し、我が軍を欺いた罪――その代償を払え!」
兵士がコルナの懐から封書を引き抜く。
王都の宰相府の印、侯国宛ての暗号文。
それは彼らが自ら仕込んだ“偽の報告”だった。
「これで十分だ」
兵は短く言い放つ。
「二人を拘束しろ!」
鉄鎖の音が鳴り、レーンは苦く笑った。
「……やはり、こうなるか。だが覚えておけ。トリスはもう、我らの掌には乗らん。奴は――“民の王”だ」
「レーン! 貴様ぁぁっ!」
コルナの絶叫が響く。
しかし兵たちは容赦なく鎖を引き、二人を天幕の外へと引きずり出した。
外では、侯国軍の撤退を告げる鐘が鳴っていた。
酒と血と裏切りの匂いが、夜風に混じって消えていく。
二人の王国貴族が夢見た「他国を使った利権劇」は――こうして、静かに幕を閉じた。
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




