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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
戦火の港湾

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オルディア港、援軍到着

とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。

 翌々日の夜


 オルディア港の波止場に、角笛の音が三度響いた。

 王都からの援軍が到着した合図だ。


 桟橋の向こうから、白い帆を掲げた船団が次々と入ってくる。甲板に整列した兵士たちの姿が、光を反射して眩しいほどだった。


「……来たか」

 俺は深く息を吐き、アリアと視線を交わす。

 彼女は頷き、腰の二刀に手を添えたまま静かに笑った。

「これで民も安心するわね」


 桟橋に立ち並ぶ領民の間から、歓声が上がる。

 「王都の兵だ!」「助かったぞ!」

 戦火で焼けた倉庫の壁に寄り添っていた老人までも、震える声で手を叩いた。


 やがて、船首から堂々と降り立ったのは、鎧に身を包んだ将校たちだった。

 先頭に立つ壮年の将が、まっすぐこちらに歩み寄る。


「トリス・レガリオン子爵殿であられるな」

 声は低く、だがよく通った。

「王命を受け、オルディア港防衛のために参上した。第九歩兵連隊長、カーヴェルである」


「遠路ご苦労。……港は奪還したが、敵はすぐ近くに陣を張っているようだ。まだ終わってはいない」

 俺は短く答え、周囲を見渡した。

 アージェが低く唸り、ノクスが桟橋の影からじっと兵たちを観察している。


 カーヴェルは頷き、即座に部下へ命を飛ばした。

「工兵隊、焼け落ちた倉庫を補強せよ! 療兵隊は民の傷病を優先だ!」

 号令に応じ、兵たちが規律正しく動き始める。


 壊れた木材を運び出す音、包帯を巻く声、子どもの泣き声、そのすべてが、次第に秩序を取り戻していく。


 民の一人が俺の前に駆け寄ってきた。

「子爵さま……! ありがとうございます……!」

 その手は荒れて震えていた。

 俺は言葉を選ばず、ただ強く頷いた。

「まだ終わらない。だが、ここは必ず守る」


 兵士と民が交わる光景を見ながら、アリアがぽつりと呟く。

「王都の兵と、私たちの領民が一緒に動いてる……」

「これが“旗の下に集う”ってことだろうな」

 俺は答え、握りしめた拳に力を込めた。


 やがて、港の先に見張りが駆け込んできた。

「報告! 岬の向こうに、侯国の焚き火を確認!」

 一瞬で空気が引き締まる。


 カーヴェルは即座に顔を上げ、俺を見た。

「子爵殿、この地を王国の堅き壁とせねばならぬ。協力を願いたい」


「もちろんだ。……俺たちの領民を守るために」

 そう告げた瞬間、広場にいた領民の歓声が波のように押し寄せた。


 安堵と緊張が同居する空気。

 だが確かに、オルディア港は取り戻しただけでなく、守る力を得たのだ。


 俺は空を仰いだ。

 帆船の帆が風を受け、はためいている。

 その下で民と兵が混じり合い、新しい防衛の拠点が築かれようとしていた。



 翌朝


 角笛が鳴り渡ったのは、援軍が到着してから半日も経たぬ頃だった。

 夕陽に赤く染まる海の向こう、黒い帆を掲げた小舟が波を切って迫ってくる。


「敵影! 侯国の偵察隊か、それとも……!」

 見張りの叫びに、兵士たちがざわつく。


 俺は即座に声を張り上げた。

「慌てるな! 港の柵を閉じろ! 弓兵、桟橋に構え!」


 アリアが二刀を抜き、視線を走らせる。

「数は多くない。けど……斥候って雰囲気じゃないわね」

 確かに、迫る小舟の上には十数人の兵士が立ち並び、斧や槍を掲げて鬨の声をあげていた。


「試しに牙を立てに来たか」

 俺は息を吐き、剣を引き抜く。背後でアージェが低く唸り、ノクスが影の中に消えた。


 小舟が波止場にぶつかり、敵兵が次々と飛び降りてくる。

「うおおおっ!」

「王国の狗どもを斬れ!」


「かかってこいよ」

 俺は迎え撃つように踏み込み、一閃で先頭の兵を斬り払った。

 血飛沫が飛び、兵たちの足が一瞬すくむ。


 その隙を突き、アリアが二刀を閃かせる。

「はあっ!」

 素早い連撃に、敵の槍兵が次々と倒れていく。


 アージェは前に飛び出し、銀の障壁を広げて盾ごと兵を弾き飛ばした。

 ノクスは影から現れ、背後に回り込んで喉元を裂く。


「す、すげぇ……!」

「これが、子爵さまの戦……!」

 港の民が思わず声を漏らす。


 だが、戦いは長引かなかった。

 敵兵は数こそいたが、指揮も取れていない烏合の衆だ。俺たちが踏みとどまるのを見て、あっという間に小舟へ退き始める。


「追撃は不要だ!」

 俺は声を張った。

「奴らは探りに来ただけだ。ここで迎撃できると示せば、それで十分だ」


 残された敵兵の死体を海に流し、港の桟橋には再び静けさが戻った。

 王都の将カーヴェルが歩み寄り、鎧の胸を叩いて敬礼する。

「見事だ、子爵殿。これで民も安心するだろう」


「これで終わりじゃない。奴らは必ず本格的に攻めてくる。」

 俺が応えると、カーヴェルは深く頷いた。


「承知した。このオルディアは、我らが王都の兵で守り抜く」


 背後では、民たちが互いに抱き合い、涙を流していた。

 安堵の笑い声が波の音に混じり、港に少しずつ平穏が戻っていく。


 その夜。

 王都から届いた伝令が、港の執務室で俺に封書を差し出した。


「王の命により、トリス・レガリオン子爵に通達す。オルディア港の奪還見事であった。だが、防衛は王国軍に任せ、リヴェール港の防衛へ加わり、侯国軍の侵攻を阻め」


 読み上げる声が終わると同時に、部屋の空気が張り詰めた。

 アリアが振り返り、俺を見つめる。

「やっぱり、本命はリヴェール……」


「……ああ」

 俺は封書を握りしめた。

「ここを守るのは王都の兵に任せる。俺たちは次の戦場に向かう」


 アージェが低く吠え、ノクスが影から飛び出して足元に擦り寄る。

 仲間たちの反応に、俺の迷いは消えた。


「行こう。これが俺たちの役目だ」


 オルディア港の灯りを背に、俺たちはリヴェール港へ向けて歩き出した。

 戦いは、まだ始まったばかりだ。


評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!

初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。

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