王城謁見の間 ― カローネ侯国の訴え
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王城の謁見の間
高窓から差し込む光が赤絨毯を照らし、玉座を仰ぐ広間に緊張が張り詰めていた。列席する重臣や諸侯は息を潜め、ただ中央に進み出る使者を見守る。
黒衣に身を包んだカローネ侯国の使者が深く一礼し、声を張る。
「王国の高き御座に参じたこと、我が主に代わり感謝申し上げます。されど本日、我らが侯国はもはや看過できぬ。トリス・レガリオン子爵領、その横暴を告発いたす!」
広間がざわめいた。使者は羊皮紙を掲げ、畳み掛ける。
「まずは“違法取引”。港に流れた禁制品、武具、触媒、希少鉱石。これらは正規の印を持たず、裏取引で闇に流れた。商人、労働者、旅人から複数の証言が揃っている!」
列席の貴族たちが顔を見合わせる。だが使者は間髪入れず、別の羊皮紙を広げた。
「次に“環境汚染”。侯国の家畜に影響が出ており原因を探しておりましまが、トリス領内の川から有害物質が検出された。ここに“鑑定書”がある! 水を飲んだ家畜が倒れ、土地は徐々に痩せていると」
玉座の傍らで、宰相が椅子を打ち鳴らした。
「馬鹿な! そのような報告、我らは一度として受けておらぬ!」
しかし使者は冷笑を浮かべる。
「報告がなかったのは隠していたからだろう。証言と鑑定は揃っている。だが、最も憂慮すべきは」
使者の声がさらに低くなる。
「“聖具”の利用だ。《双子座の水瓶》なる神器を、王の許しもなく設置し、領民を癒すと称して民心を掌握している。癒しは甘美だ。だがそれは、民を縛る鎖。兵を癒し、心を縛り、私兵を集める。これは王国の統制を逸脱し、王権への挑戦に他ならず、さらには隣接する我らが侯国への脅威と見る!」
広間は大きくどよめき、怒号が飛ぶ。
「馬鹿な!」「証拠を見せろ!」
宰相が立ち上がり、声を張った。
「虚言を! 証拠とやらを示せ!」
使者は机に羊皮紙を広げる。
「ここにある。商人の証言、港の労働者の署名、そして学者による“鑑定書”。王国の学識に照らしても疑えまい」
王国側の顔が険しくなる中、港の領主、若きリシャール・ド・リヴェール子爵が立ち上がった。
「聞くに耐えん! 我が領とトリス領は交易を結んでいるが、そのような事実は一度もない! その“証言”も鑑定も、全てでっち上げだ!」
別の貴族も続く。
「川が汚れたなど聞いたこともない!」「禁制品の流通など、ありえぬ!」
だが使者は怯まず、鋭い眼差しで返す。
「言葉だけで覆せるものか。王国は事実を隠し、民を欺いている。それを見抜けぬなら、我が侯国が正す!」
広間に重苦しい沈黙が落ちかけたその時、皇太子が一歩進み出た。
「……私は見た」
若き声が澄み渡り、場の全てを支配する。
「テルマハルトの湯に沈められた水瓶を。ハルトンの噴水に収められた聖具を。そこにあったのは欺きではない。癒しだ。重傷の兵が立ち上がり、疲れた民が笑顔を取り戻すのを、この目で見た。これを“たぶらかし”と呼ぶのなら!侯国は癒しの意味を知らぬのだろう」
その言葉に宰相が力強く頷き、叫ぶ。
「よくぞ仰せられた! 忠義の臣を紙切れ一枚で貶めることなど、許されぬ!」
リシャールも拳を握りしめ、声を重ねる。
「侯国の主張は虚構だ! トリス子爵の領は王国の希望! 民を救う灯だ!」
広間は怒号とざわめきに包まれる。
その喧騒を、ただ一声で切り裂く声があった。
「静まれ」
王アルトリウスの声である。
白銀の髭をたくわえた威容は揺るぎなく、その響きは全てを縫い止める。
「侯国の訴え、確かに聞いた。証言も鑑定も、整ってはいる。だが揃いすぎている。これは誰かが意図的に作った証に他ならぬと考えられる。」
王の声は低くも揺るぎなかった。
「加えて、皇太子が実見した事実を、我は重んじる。聖具は確かに癒しをもたらした。兵も民もその恩恵を受けた。それを“たぶらかし”と断じるのは、王国の理に合わぬ」
玉座の肘掛を打ち鳴らし、声を張り上げる。
「ゆえに我が裁定を下す! トリス・レガリオン子爵の領は正当なる王国の領地。彼の行いは罪にあらず! 侯国の訴えは虚構と断ず!」
その瞬間、広間にざわめきが走る。使者は顔を強張らせ、吐き捨てた。
「ならば戦の理由は揃った! 王国が我らを虚偽と断じる以上、剣をもって答えるまで!」
王の瞳が鋭く光る。
「ならば好きにせよ。我が王国は一歩も退かぬ。民を守るために剣を執るのみだ!」
使者が去った後、王は宰相に命じた。
「侯国は必ず兵を動かす。直ちに南東部の港へ軍を集めよ。周辺諸領にも通達し、兵糧と船を準備させよ。冒険者ギルドにも討伐依頼を出すのだ」
宰相は深々と頭を垂れる。
「御意」
そして王は若きリシャールへ向き直る。
「リヴェール子爵。まず刃が振り下ろされるのはおそらく貴殿の港だ。恐れるな。我と共に、王国の盾となれ」
「必ずや、命に代えても守り抜きます!」
最後に王は諸侯全てを見渡し、力強く告げた。
「これは一領の戦ではない。王国全土の存亡を懸けた戦である。すべての領地、すべての民が、王国の旗の下に団結するのだ!」
その声は鼓動のように広間を揺らし、王国の命運を決する戦の幕が切って落とされた。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
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