支配を断つ剣
とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
蒼晶の眠る洞 三十層
金と紅の軌跡が交差した。
カイザーの両刃剣と、俺の覇帝戦技を纏った剣。
火花が飛び散り、音が洞窟全体を震わせた。
「トリス!」
「大丈夫だ、押し返す!」
全身を一本に束ねた線が、皇帝の圧を受け止める。
次の瞬間、伝勢が働き、相手の重さをそのまま返す。
カイザーの体が一瞬だけ揺れた。
「今だ、アリア!」
「任せて!」
アリアの二刀が肩の裂け目を抉り、黒鉄がバキリと裂けた。
アージェが横から体当たりし、ノクスが影を突き抜けて肘の筋を裂く。
黄金の瞳が細まり、再び頭に意味が響いた。
"燃えろ 沈め 砕け"
指示の密度がさらに上がる。
矢が波のように押し寄せ、盾列が楔となって迫る。
だが、もう俺は恐れない。
「アージェ、正面を受けろ! ノクス、後衛を散らせ! アリア、俺の肩を踏め!」
「ワンッ!」
「ニャッ!」
「了解!」
障壁が弾け、矢が火花のように散る。
アリアが俺の肩を踏み台に跳び、二刀で鎧の亀裂を広げた。
ノクスが後衛の弓兵を引き裂き、弓の雨が途絶える。
「……終わりにしようぜ、皇帝」
俺は深呼吸し、剣を低く構える。
鼓動、呼吸、仲間の動き。全部が一本の“線”に重なる。
王断。
「はぁぁっ!」
斜めに振り抜いた刃が胸甲の合わせ目を貫き、
ガギィンッ!
轟音を立てて黒鉄を断ち割った。
黄金の瞳が大きく揺れる。
胸から紅が溢れ、支配の震えが途切れる。
その瞬間、全軍の動きが止まった。
「っ……!」
矢も槍も盾も、次の命令を待つ兵士のように静止する。
命令が届かない。支配が途切れたのだ。
「アリア!」
「了解!」
二刀が閃き、肩口から喉元へと切り裂いた。
アージェが体当たりで胴を押し潰し、ノクスが喉を深くえぐる。
俺は最後に剣を振り上げ、全力の伝勢を乗せて振り下ろした。
「覇帝戦技、王断ッ!」
ドガァンッ!
轟音と共に刃が胸を貫き、黒鉄の鎧ごと床に叩きつけた。
黄金の瞳が見開かれ
そして、静かに光を失う。
次の瞬間、洞窟全体が震え、軍勢のゴブリンたちが一斉に倒れ伏した。
支配を失った軍は、ただの群れにもなれず消えていく。
静寂。
熱気だけが残り、呼吸の音が広間に響く。
「……終わった、のか?」
アリアが肩で息をしながら呟く。
「ワン……」
「ニャ……」
従魔たちも血に濡れながら寄り添う。
俺は剣を床につき、息を吐いた。
「……ああ、勝った。俺たちが“支配”を折ったんだ」
ダンジョンビューの向こうから、歓声が波のように押し寄せた。
「トリス様!」「やったぞ!」
涙混じりの声が、俺の胸に届く。
俺は剣を納め、仲間たちに笑みを向けた。
支配の鎖は断たれた。
次に進む扉が、静かに光を放っていた。
⸻
皇帝の刃が地に落ちた瞬間、軍勢は砂のように崩れ去った。
蒼晶の光に包まれ、カイザーゴブリンの巨体もまた霧散していく。
広間には俺たちの荒い息遣いだけが残った。
その瞬間、視界の奥に、白い数字が刻み込まれるように浮かんだ。
【レベルアップ】
名前:トリス(18歳)
Lv:21 → 24
HP:1380 → 1600
MP:13300 → 16000
STR:198 → 220
VIT:182 → 200
AGI:212 → 235
DEX:243 → 265
INT:228 → 250
MND:197 → 215
LUK:310 → 340
「……っ!? 三つも……一気に上がった!?」
数字を見て、息を呑む。
胸の奥が爆ぜるように熱く、全身を駆け抜ける魔力は制御しきれないほどに膨れ上がっていた。
「すごい……これが、ボスを超えた存在の力……!」
嬉しさと畏怖が入り混じり、思わず笑みが漏れる。
仲間たちもその光景に言葉を失っていた。
だがトリスだけは、子供のころと同じように拳を握り
「やった……! 本当に……強くなってるんだ!」
と無邪気に喜びを爆発させた。
「……勝った、んだよね」
アリアが剣を下ろし、汗を拭う。
「ワゥン……」
「ニャ……」
アージェもノクスも傷だらけだが、生きている。その事実だけで胸が熱くなる。
だが終わりではなかった。
ゴゴゴ…… と地響きが響き、崩れた玉座がゆっくり沈んでいく。
岩盤が割れ、そこから蒼晶の輝きに包まれた大きな宝箱が姿を現した。
「玉座の下に……隠してやがったか」
俺は剣を納め、慎重に箱へ歩み寄る。
蓋を開くと、中に収められていたのは
一本の旗
深い群青の布地に、金糸で翼と双剣が交差する紋章が縫い込まれている。
風もないのに布がわずかに揺らぎ、淡い蒼光を帯びていた。
「……旗?」
アリアが首を傾げる。
「戦利品にしては、ずいぶん立派だね」
「いや……これはただの旗じゃない」
俺は深呼吸し、宝を掲げるように両手で持ち上げた。
そして小さく呟く。
「《真鑑定》」
⸻
《真鑑定》
名称:《覇軍旗》
種別:聖具
効果:
•掲げる者の味方に士気上昇・疲労軽減・恐怖耐性を付与
•味方同士の連携精度を高め、まるで意志疎通するかのように動ける
•味方は一度だけ致命傷から踏みとどまる「不屈の奇跡」を得る
•味方に「幸運」を付与する
例:致命の一撃が浅く逸れる、攻撃が間一髪で命中する、罠や事故を避けるなど、小さな幸運の積み重ねが奇跡に繋がる
特性:
•「正しく導く者」が掲げるときにのみ真価を発揮する
•欲や暴虐のために掲げれば、逆に「不運の連鎖」を呼び込み、味方を滅ぼす
⸻
光文字が霧散し、洞窟に静けさが戻った。
「……これは、軍を導く旗だ」
俺は低く呟いた。
「士気を高め、恐怖を祓い、幸運まで呼ぶ……仲間を決して見捨てない旗だ」
「そんな……本当に?」
アリアが息を呑む。
アージェが誇らしげに吠え、ノクスが影の中で尾を揺らした。
ダンジョンビューを通じて広場の民がどよめくのが、遠くから伝わってきた。
「旗だ!」「トリス様が皇帝の旗を奪ったぞ!」
歓声が波のように押し寄せる。
俺は旗を胸に抱きしめ、静かに誓った。
(この旗は俺だけのものじゃない。仲間と、領民と、皆の未来を守る象徴だ)
蒼晶の光が広間を満たし、次の階層へ続く扉がゆっくりと開いていった。
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




