突破の証、指揮官
蒼晶の眠る洞 第20層
広間に足を踏み入れた瞬間、息が詰まった。
壁を走る蒼晶が脈打つように光り、段差と深い溝が迷路みたいに入り組んでいる。橋は細く、落ちれば戻れそうにない。
「……嫌な場所ね」
アリアが弓を握り直す。
アージェは低く唸り、ノクスは影の縁を渡って周囲を探る。
――ゴゴゴッ。
地鳴りとともに、暗闇から巨体が浮かび上がった。額に二本の角。尾は柱のように太い。岩盤みたいな鱗が光を弾く。
「双角大蜥蜴……!」
主の気配に呼応するように、溝から小型の蜥蜴が群れで飛び出してくる。黄色い眼が十も二十も光った。
「群れを散らせ! アージェ正面、ノクスは影! アリア先導!」
「ワン!」
「ニャ!」
「了解!」
――ギシャアッ!
小型が一斉に突っ込む。
アージェの障壁が立ち、牙を弾いた。俺は脇から飛び出した一匹を刃で裂く。アリアの矢が二本、三本と続き、ノクスが影から飛び出して喉を抉る。
だが奴らは潜って別の口から湧き出した。足元を絶え間なく狙ってくる。
「出口は三つ! 右、正面、左奥!」
アリアの矢が出口を射抜き、動きが鈍ったところへノクスが突撃。アージェが残りを蹴り飛ばす。
視界が開いた瞬間、主が動いた。
――ズシンッ!
双角が頭を下げ、巨体が沈む。
「突進だ! アージェ、正面受け! アリア、左角を狙え! ノクス、尾の死角へ!」
障壁が立ち、角が斜めに滑る。アリアの矢が根元へ食い込み、ノクスが尾に爪を刻む。
だが尾の一撃が石橋を薙ぎ払った。
「退け!」
轟音、石片が弾け、俺たちは身を伏せて避けた。
――ズドォンッ!
床が揺れる。強い。角と体重の噛み合いが完璧で、障壁を一度でも誤れば粉砕される。
さらに双角は角を床に突き刺した。
バチッ!と蒼晶が弾け、衝撃波が広間を駆け抜ける。
「ぐっ……!」膝が抜けそうになる。
「角で衝撃波か!」
「アージェ、杭で受けろ!」
「ワォンッ!」
鋭い杭状の障壁が立ち、衝撃を一点で逸らす。だが完全には殺し切れず、アリアがよろめき矢を落としかけた。
「大丈夫か!」
「……平気。でも厄介よ」
双角は追撃に尾を振る。
――バキィンッ!
支柱が折れ、石橋が傾いた。
「射線が潰される!」
「弓は封じられる、一度剣で間合いを作れ! アリア、二刀に切り替え!」
「了解!」
アリアが剣を抜き、角の死角へ飛び込む。速剣で脚を裂き、重剣で角の軌道をずらす。ノクスは背に張り付き、首筋へ爪を叩き込む。アージェは尾を杭で抑え、勢いを折った。
俺も段差を踏み越え、鱗の継ぎ目へ刃を滑らせる。だが血は浅い。硬い。
双角が低く唸り、溝へ潜った。
――ゴゴゴッ。
床下を走る振動が三方向から迫る。
「潜行だ。出口三つ――俺の声を聞け!」
右は軽い。左奥は水が強い。正面は肺いっぱいの溜め――。
「正面、来る!」
――ズガァンッ!
角が天井を突き破り、石片が雨のように降る。アージェが障壁で逸らし、アリアの矢が根元へ突き刺さる。
俺は横から滑り込み、角を斬りつけた。
――バキィンッ!
左角が根元から折れ、石上を転がる。
双角が咆哮し、尾を縦に振り下ろした。
粉塵が広がり、視界が白む。
その中で、アージェが尾を受け切れずに崩れた。
「アージェ!」
鼻を鳴らし、立ち上がる。痛みはあるが、目は折れていない。
……強い。まだ序盤だというのに、押し込まれている。
次は奴が、こちらの手札を読んで同時に仕掛けてくる。
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




