罠と霧、戦術の采配
とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
蒼晶の眠る洞 第十八層
十八層に足を踏み入れた瞬間、肺の奥に重い湿気がまとわりついた。
霧は十七層より濃く、三歩先すら霞んで見える。音が吸い込まれ、方向感覚が揺らぐ。
「……嫌な空気ね」
アリアが低く呟き、矢筒を握り直す。
「床……変だな」
俺は膝をつき、石板に手を当てる。わずかに沈み、そこから湿った風が漏れた。
反射的に《真鑑定》を展開する。
――――――
【対象】劣化石板
【状態】内部空洞化・落下連動罠
――――――
「……空洞だ。踏めば落ちる」
「ワンッ」
アージェが唸り、前に出て俺の肩に鼻を寄せる。
ノクスは影に沈み、三歩先を探ってから戻ってきた。
「アリア、矢で板を叩け。沈む場所を炙り出すんだ」
「了解!」
矢が放たれ、石を叩く。――カンッ。
音と同時に板が崩れ、黒い穴が口を開けた。底から吹き上がる風が霧を乱し、湿った水の匂いが鼻を刺す。
「……下は深い。水溜まりか。落ちたら助からん」
「即死ってことね。気を抜けないわ」
⸻
通路を進めば、壁がせり出し道を塞ぐ。霧が厚みを増して別の道へ誘う。天井から垂れる糸は矢を絡め取ろうとする。
俺は都度、真鑑定を使ったが――。
――――――
【対象】幻影の壁
【状態】魔力錯乱・実体なし
――――――
「……やっぱり、幻は見抜けない」
「なら観察で見破るしかないってわけね」
アリアが剣を抜き、挑むように笑った。
⸻
進行を重ねる最中、頭上から影が舞い降りた。翼を広げ、鋭い爪を振り下ろす。
「幻霧蝙蝠!」
幻影がいくつも重なり、本体を紛らわせる。真鑑定を発動するが――。
――――――
【対象】幻影
【状態】虚像/錯乱魔力
――――――
「……駄目だ、幻影には反応しない!」
「なら音! 本物だけ風を押してる!」
羽ばたきの周期を耳で拾い、俺は右二歩先を指差す。
「アリア、そこだ!」
「任せて!」
矢が霧を裂き、悲鳴が響く。本体が墜落し、ノクスが影から喉を裂く。アージェは残る影を押し返し、霧が静まった。
⸻
やがて広間。
白い霧の海に石橋が伸び、壁の穴から周期的に風が吹き出す。
「……来るぞ」
霧を割って現れたのは、猿のような体躯に異様な牙を持つ怪物。
「幻牙猿!」
叫び声と共に影が八体へと分かれる。石橋を揺らし、俺たちを落とそうとする。
「真鑑定!」
――――――
【対象】幻牙猿(?)
【状態】幻影重複/真体:識別不能
――――――
「……やっぱり真体は見えない!」
「じゃあ風を読むしかないな!」
俺は壁の穴から吹き出す風に集中する。本物だけが霧を乱す。
「右後ろ! 本体はそこだ!」
アリアの矢が突き刺さり、ノクスが喉を裂く。アージェが体当たりで足場を揺らし、俺の刃が牙を断つ。
敵は霧をまき散らして暴れるが、アリアが壁の穴を矢で塞ぎ、風を止めた。幻影が乱れ、ノクスが急所を貫く。アージェが押さえ込み、俺が胸を突き刺す。
静寂。
濃霧はゆるみ、広間に青い苔の光が戻った。
「……勝ったな」
「ええ。鑑定が万能じゃないのが分かった分、頼れるのは観察と指揮だったわね」
アリアが笑い、ノクスが喉を鳴らし、アージェが俺の手に鼻先を押し当てた。
⸻
十八層。
罠も幻影も、《真鑑定》だけでは突破できなかった。
だが俺たちは観察と采配で道を切り開いた。
次は十九層。さらなる試練が待つだろう。
俺は刀の柄を握り直し、仲間と共に霧の奥を見据えた。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




