混成戦域:刃と矢が繋ぐ道
とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
蒼晶の眠る洞・第十六層
地の底で砂が泡立った。
「来る。第二波だ」
最下段の影が弾け、黒い槍が何本も立ち上がる。全身が尖った虫が、壁面を針脚で走りながら斜めに駆け上がってくる。
「貫槍虫!」
殻は薄いが、速度が段違いに速い。
「アリア、距離を作れ!」
「了解!」
俺が先頭を斬り払い、アージェが二体目を肩で弾く。針脚が岩に突き立ち、甲高い音が跳ねた。
ノクスが影から背に飛びつく
だが殻が薄くて滑り、爪が深くは入らない。
「下、群れ! 上、再湧き!」
岩棚の陰からはさっきの鳥も現れ、頭上から襲いかかってきた。下ではランサーグリブが三拍子で“走る・跳ぶ・刺す”を合わせて押し上がる。
上から刺す鳥、下から貫く虫。
正面で受ければ串刺し、跳べば撃ち落とされる
嫌な組み合わせだ。
「上は俺が止める! 下はどうする!」
「動線を“詰まらせる”!」
アリアが矢を連射。狙うのは胸でも頭でもない。
ランサーグリブが針脚を突き立てる“岩の窪み”。
矢がそこを砕き、石粉が噴く。足場を失った虫は角度を狂わせ、跳躍の突き上げが空を切った。
「ナイス!」
俺は縁を蹴って首節を断ち、アージェが二体まとめて押し返す。銀光の壁が槍を弾き、火花が走った。
「ノクス、上中段の影から“道”を引け!」
「ニャッ!」
黒い線が岩棚から岩棚へ。崩した棚の影を迂回するように上へ伸びる。
「アリア、湧き口を縫えるか!」
「行ける!」
鳥が岩陰から出る直前、その出口に矢が突き刺さった。翼根を“待ち矢”が貫き、上昇に乗れない。もがいたところをノクスが影道から襲い、俺が落下点で斬った。
湧きは止まらないが、出た瞬間を削れば怖くない。
「右列、速い!」
アリアの声。崩れた列の外から、別角度で虫の群れが駆け上がってくる。
「アージェ、右に寄せろ!」
銀光が弾け、右の道を塞ぐ。槍脚が壁に空打ちして外れ、数体が落下した。
呼吸が整う。敵の意図が見える。
上は湧き口の瞬間を撃つ。下は足場を崩して軌道をずらす。逸れた個体だけ狩る!これならいける!
だが、その時。
最下段で砂が爆ぜ、ひときわ大きな影が姿を現した。殻は段違いに厚く、額に縦一文字の溝。その奥で濁った光が灯る。
「砲殻虫! 気をつけろ、酸を“光線”にして吐く!」
額の溝が開き、白い閃光が走った。酸の線が岩棚を焼き切り、苔が一瞬で焦げ落ちる。
「アリア、上が危険になる。降りろ!」
「了解!」
アリアが身を沈めた瞬間、白線が棚をなぞり、角を削ぎ落とした。
湧く鳥はなお止まらない。だが酸の光線が岩棚を削るたび、奴らの足場も崩れていく。湧きと砲線を重ね、こちらの動きを奪う――狙いはそこだ。
「ノクス、砲の“前”に影道は引くな! 焼かれるぞ!」
「ニャ!」
アージェの銀壁が横から砲線を遮る。酸がじゅっと音を立て、壁が薄れていく。
「無理はするな、アージェ! 角度をずらす!」
俺は小石を砲殻の前に投げた。白線がそちらへ逸れ、別の棚を削り落とす。
「アリア、口を狙えるか!」
「角度が厳しい……でも作る!」
アリアが矢を二本同時に挟み、低い影から放った。一本は額へ、もう一本は足元のランサーグリブへ。
下の矢が前を塞いでいた虫を縫い止め、砲殻の盾を潰す。その一瞬、口が大きく開いた。
「今!」
俺は岩角を蹴り、砲殻の横腹へ走る。殻は分厚い。刃を合わせ目にねじ込むが、口が開く。癖を読まれた、まずい。
「危ない!」
銀光が立ち塞がる。アージェが突っ込み、壁を張る。酸の光線が壁を削り、火花が散った。押し返される。爪が岩にめり込み、肩が震える。
「下がれ、アージェ!」
俺は壁の陰へ転がり込む。酸の匂いが皮膚を刺す。
砲線の角度を殺し、口を閉じる間に詰める、合わせ目へ。
「ニャアッ!」
ノクスが影から飛んだ。
砲殻の口縁に爪を突き立て、全身をねじ込むように張りつく。まるで“栓”をするように、黒い影が口腔を塞いだ。
白線が漏れる。だが出口を塞がれて角度を失い、酸は横へ逸れ、ただ岩壁を焼くだけに終わった。
「今度こそ!」
刃が合わせ目に潜り、手応えが変わる。柔い。押し広げ、柄で叩き込む。
砲殻の脚が崩れ、白い霧が空へ向かう。アージェが残った壁でそれを押し返す。俺は腹の内へ刃を突き立てた。
砲殻が地を叩き、動かなくなる。酸の気配が薄れていった。
「上!」
アリアの声。最後の湧きが迫る。群れがばらけ、乱れた動きで襲いかかってきた。
だが――もう親玉も砲殻もいない。残ったのは、ただ一体。
「全員で仕留めるぞ!」
俺の声に、仲間が同時に動いた。
アリアの矢が翼を縫い、墜ちる軌道を作る。
ノクスが影道を駆けて背へ飛び、鋭い爪で複眼を裂く。
アージェが正面から突っ込み、銀壁で突撃を受け止める。
俺はその背を駆け上がり、刃を振り下ろした。
轟音と共に最後の一体が地に叩きつけられ、黒い体液を散らして絶命する。
静寂。
湿った風が苔を撫で、蒼晶が小さく明滅する。崩れた岩棚、焼けた苔。十六層は、俺たちが受けた痕跡をはっきり刻んでいた。
「……ふぅ」
アリアが弓を下げ、二刀を拭う。
「さっきより、ずっとよかった」
「戦いながら地形を直してた。動線を作って、敵の線を潰す。君の矢でなきゃできない」
「ありがと」
アージェの肩は上下していたが、瞳は強いままだ。
「よく持ちこたえた。助かった」
銀毛を撫でると尾が揺れ、ノクスは肩で喉を鳴らす。
「お前の“蓋”、最高だった。命拾いした」
「ニャ」
「今日は戻ろう。装備の手入れ、矢の補充。アージェの肩も休ませたい」
「賛成。矢じり、新しい角度にする。砲殻の合わせ目に掛かる形」
「いいな」
ノクスが「ニャ」と鳴き、俺の肩に飛び乗った。
俺たちは円へ足を踏み入れる。光が足首を洗い、静かに胸まで満ちていく。
十六層の空気が薄れ、苔の匂い、砂の手触り、銀光の名残が遠のいていった。
次は十七層。
混成と地形の“篩”を抜けた俺たちに、どんな問答が待つのか。
刀の柄を握り直し、静かに息を吐く。
(もっと繋げる。刃も、矢も、仲間の力も。全部、一本の線に)
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




