結晶草原の伏兵 腕輪と首輪
蒼晶の眠る洞 第九層
踏み入れた瞬間、思わず息を呑んだ。
そこは洞窟でありながら、まるで草原。
だが大地を覆うのは草ではなく、青白い結晶の茎だった。風に揺れるたび、鈴のように高く澄んだ音が鳴る。
「……綺麗。でも、空気が澱んでる」
アリアが弓を握り、周囲を警戒する。
「ワンッ……」
アージェが低く唸り、
「ニャ……」
ノクスも影を逆立てるように毛を逆立てていた。
(ただの景色じゃない。敵だな)
俺は【真鑑定】を展開する。
視界に淡い光が走り、結晶茎の一部が赤く染まった。
―――――
対象:《クォーツストーク》
特性:茎を伸ばして絡め取る。結晶破片を飛ばす。群体行動。
危険度:C~Bランク。
―――――
「……罠草か! 茎が伸びるぞ!」
叫んだ瞬間、透明の鞭のような茎が襲いかかる。
「任せろ!」
アージェが障壁を展開して突進。火花を散らしながら受け止めた。
「ワンッ!」
「ナイスだアージェ! ノクス、影から回れ!」
「ニャアッ!」
ノクスが影を裂き、根元へ滑り込み、牙で結晶を砕く。
だが同時に
「トリス、足元!」
アリアの矢が閃き、地面から這い出た透明の蛇を射抜いた。
―――――
対象:《スパイアファング》
特性:透明化/結晶牙。伏兵としてクォーツストークと共生。
―――――
「二重連携か!」
俺は刀を抜き、蛇の尾の突きを受け流して斬り払う。結晶の蛇が粉になり、霧散した。
「……厄介だけど、数は読める」
アリアが連射で数本の茎をまとめて粉砕する。
やがて残りの群体はざわめきながら退き、結晶草原は再び静寂を取り戻した。
⸻
「ふぅ……群体戦、初めてにしては上出来」
アリアが息を吐く。
「アージェ、ノクス。よくやった!」
「ワンッ!」「ニャッ!」
二匹が同時に鳴き、甘えるように俺へ寄ってくる。
アリアが笑顔で頭を撫でると、尻尾を振り、喉を鳴らした。
「……ほんと、頼もしい子たち」
その姿に、俺も自然と笑みがこぼれる。
(次は十層……最初の節目だ)
⸻
そして十層。
そこは光が乱反射する鏡のような空間だった。
「……来る」
アリアが弦を引き絞る。
結晶の光の中から姿を現したのは、透明な結晶体に覆われた獣、《プリズム・ジャッカル》。
幻のように分身して見えるが、実体はひとつ。
「影を見ろ! 本体は一つだ!」
「了解!」
アリアの矢が影を貫き、ジャッカルが吠える。
アージェが突進して結晶を砕き、ノクスが影渡りで喉元へ飛び込む。
「今だ!」
俺は【覇剣術】を叩き込み、結晶を一刀両断した。
光が砕け、ジャッカルは絶叫と共に霧散する。
⸻
残されたのは――人数分の“腕輪と首輪”。
淡い蒼光を帯び、呼吸するように脈動している。
「これ……転送装置付きのアクセサリー?」
アリアが腕輪を手に取り、装着すると、ぴたりと吸い付いた。
―――――
【ドロップ品:転送装置付きアクセサリー】
種類:腕輪/首輪
効果:解放される転送陣と同期。
帰還/進行の選択が可能。
―――――
「ワンッ!」
アージェの前に首輪が浮かび、その首に装着される。
「ニャッ」
ノクスも自ら首輪を咥えて首にかけた。
「……人数分、揃ってるな」
「挑戦者を管理するための仕組み……ダンジョンって、やっぱり作られてるわね」
俺は腕輪を握りしめ、深く息を吐いた。
「今日はここまでだ。素材を整理して、また挑む」
「うん。二匹の初陣だったし、区切りもいい」
「ワンッ!」「ニャー!」
二匹の声に、思わず笑いがこぼれる。
⸻
こうして俺たちは、最初の節目・十層を突破した。
転送装置を得て、蒼晶の街へ帰還する。
だが、冒険はまだ始まったばかり。
次なる試練が、俺たちを待ち受けている。
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




