囲まれる風切りの羽と乱入者
森の奥から、甲高い笑い声と複数の足音が迫ってきた。
影の群れが飛び出す。緑色の小鬼――ゴブリンだ。
「ゴブリン!? しかも群れじゃねぇか!」
ルークが顔を引き締め、剣を構える。
「十五……いや、二十近くいるぞ! 多すぎだろ!」
ディルが声を張り上げる。
「アルミラージどころじゃないわ……!」
ミーナの顔から血の気が引いた。
トリスは木剣を構え、必死に唇を噛む。
(これが……本物の魔物の群れ……!)
⸻
ゴブリンたちは四方に散開し、包囲を完成させた。
「来るぞ!」
ルークが吠え、先頭のゴブリンを剣で弾き返す。
「はっ!」
ディルが横から走り込み、一体の喉を短剣で切り裂く。
だがすぐに別の二体が飛びかかり、彼は必死に跳んで距離を取った。
「くそっ、数が止まんねぇ!」
「――〈ファイアボルト〉!」
ミーナの火球が一体を吹き飛ばす。
だが別のゴブリンが横から突っ込んでくる。
「いやぁっ!」
杖を振りかざし必死に防ぐが、追い詰められていく。
「ミーナ、下がれ!」
ルークが駆け寄り、剣で軌道を逸らした。
⸻
ルークは前に立ち、歯を食いしばって剣を振るい続けた。
「俺が前で止める! ディル、横頼んだ!」
「わかってる!」
ディルは素早く身を翻し、背後から迫るゴブリンの顎を突き刺す。
「よし!」
だが足元から飛び込んできた別のゴブリンに体勢を崩される。
「危ない!」
トリスが石を拾って投げつけた。
「ギャッ!」
ゴブリンがひるみ、ディルは態勢を立て直す。
「助かったぜ、坊主!」
ディルが親指を立てて笑った。
ルークは正面の五体を相手に剣を受け止め、蹴りで距離を稼ぐ。
「ぐっ……! 重すぎる!」
その時、トリスは一体のゴブリンの動きに気づいた。
(……あいつ、足をぬかるみに取られてる!)
「ルークさん! そいつ、足がハマって動けてない!」
「今だな!」
ルークが踏み込み、突きでゴブリンの胸を貫いた。
「よし! いい目してるぞ、坊主!」
ルークが息を吐きながら笑った。
⸻
だが、仲間たちの体力は限界に近づいていた。
「ぐっ……肩に入った!」
ディルが呻きながら短剣を振る。
ルークの腕も裂かれ、血が滴る。
「ちくしょう……!」
「もう……魔力が……出ない……!」
ミーナが震える声を上げた。
「まだ終わらせねぇ!」
ルークが叫び、必死に剣を振るう。
だが数は減らない。
ゴブリンが一斉に吠え、四方から雪崩れ込んできた。
(駄目だ……このままじゃ!)
トリスの心臓が凍りつく。
⸻
「――下がって」
凛とした声が響いた。
直後、三体のゴブリンの首が宙を舞った。
血飛沫を浴びながら、剣を携えた少女が前に躍り出る。
短い髪、鋭い瞳、無駄のない身のこなし。
彼女――アリアはためらいなく剣を振るい、次々とゴブリンを切り伏せた。
「な、なんだよあの速さ……!」
ディルが息を呑む。
「人間の動きじゃない……!」
ミーナが呆然と呟く。
アリアはただ淡々と剣を振り続ける。
その姿はまるで風のようだった。
⸻
「ギギィィ!」
ゴブリンたちは恐怖と怒りの奇声を上げ、合図を交わした。
五体が一斉に飛びかかる。
アリアは正面を突き、返す刃で隣を切り裂く。
だが左右から迫る刃をすべては防ぎきれず、頬にかすり傷が走った。
「危ねぇだろ!」
ルークが剣を振り抜き、一体を押し返す。
「……助かった」
アリアは短く言い、再び剣を構える。
後方のトリスは固唾を飲んで見守った。
(強い……でも、まだ終わってない!)
⸻
森の奥から、地を踏みしめる重い足音が響いた。
姿を現したのは、他のゴブリンより二回り大きな個体。
筋肉質の体、黄色く濁った眼。
手には粗末だが重い鉄棍棒を握っている。
「ホ、ホブゴブリン……!」
ルークが青ざめる。
「こいつ……俺たちじゃ太刀打ちできねぇ!」
ディルが血の滲む肩を押さえながら呻いた。
「やっぱり……ただの群れじゃなかった……!」
ミーナが杖を震わせる。
ゴブリンたちが吠え、ホブゴブリンの背に続いて陣を組み直した。
戦場の空気が一層張り詰めた。
――決戦の幕が上がろうとしていた。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




