ハルトンダンジョン都市の萌芽
3年後とまではいかない。
凱旋から数か月後のことだ。
ハルトンの広場に、新しい看板が掲げられた。
〈冒険者ギルド・ハルトン支部〉
「やっとだ……!」
カインが腕を組み、感慨深げに看板を見上げる。
「ふふ、あっという間ね」
ミーナは帳簿を抱えながら微笑む。「王都から支部設立の許可が下りたのも、トリス様が“秩序を示した”からよ」
「領主の顔が板についたってことね」
アリアがからかうように笑う。
「おい、それは褒めてるのか?」
俺は苦笑した。
「もちろん」
フレイアが肩を叩く。「今や“村”じゃなくて“都市”の始まりよ」
⸻
ギルド支部ができると、外部から冒険者たちがどっと押し寄せてきた。
アントの卵、温泉脈の調査、浅層ダンジョンの素材、進ダンジョン……。
金になる匂いがすれば、冒険者は群がる。
「依頼票を出したそばから剥がされていくわね」
ミーナが苦笑する。
「悪いことじゃないだろ。仕事が回るんだし」
カインが肩をすくめた。
「……ただし」
俺は視線を鋭くした。
「秩序を守るのが前提だ。昨日みたいな揉め事は二度と許さない」
⸻
昨日。
ギルドの酒場で、外から来た冒険者と地元の若者たちが揉めた。
「採取権は俺たちが先だ!」
「ふざけんな、こっちは王都ランク持ちだぞ!」
一触即発の場面に俺が踏み込んだ。
「……やめろ」
短く言っただけで空気が凍る。
《威風》は既に《覇気》へと進化していた。
俺の声に含まれる魔力が場を支配し、喧嘩腰の連中は一斉に椅子を引いた。
「領主が見てる前で剣を抜くのか?」
俺はゆっくりと歩きながら、一人一人の目を見た。
「ここは“街”になる場所だ。好き勝手したければ、他へ行け」
沈黙の後、冒険者たちは渋々剣を納めた。
⸻
「……あの一件で、冒険者どもも大人しくなったな」
アリアが頷く。
「トリスの“覇気”は怖いからな」
カインが笑う。「俺まで背筋が伸びた」
「でも、効率的だったわ」
ミーナが淡々と付け加える。「殴り合いより数字の損失が少ない」
「なにより」
フレイアがグラスを掲げた。
「冒険者ども、今じゃ“ハルトンは安全に稼げる”って評判になってる。秩序を示したおかげね」
「そういうことだ」
俺は静かに頷いた。
「治安を保つこと、それが冒険者と商人を呼ぶ一番の方法だ」
⸻
夕暮れ。
ギルド支部の前で、俺は村人、いや、街の住人たちを見渡した。
広場は人で賑わい、焚火の周りで酒を酌み交わす冒険者たちの声が響く。
(ハルトンはもう“村”じゃない。確かに都市の芽を出している)
刀《繋》を腰に下げ、俺は深く息を吸った。
「次は温泉郷だな」
フレイアがにやりと笑う。
「そう、あっちも“足湯”だけじゃ足りない。もっと面白くしてやろうじゃない」
仲間たちの視線が自然と交わり、笑みが広がった。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




