王宮廷議・裁きの刻
数日後
「マルケス伯」
監察官の声が廷議の間に響く。
その一言で、ざわめきは一瞬にして凍りついた。
「領主暗殺の企て、商会を通じた不正な買い占め、偽帳簿の捏造……すべての証拠は揃った」
重々しい言葉が紡がれるたび、マルケス伯の顔は赤から青へ、そして死人のように白へ変わっていく。
「馬鹿な! 罠だ! 小僧と、その取り巻きが仕組んだ罠に違いない!」
彼は必死に叫ぶが、声にはもう威厳の欠片もなかった。
「証拠を焼いたはずだ! 証人は買収したはずだ! なぜまだ……!」
「炎は嘘を焼いた」
フレイアが冷ややかに言い放つ。
指先に宿した澄んだ火の残滓が、彼女の言葉に説得力を与えていた。
「数字は誤魔化せない」
ミーナが帳簿を抱えたまま、きっぱりと言い切る。
「弓は真実を射抜く」
アリアが静かに弦を弾いた。
三人の言葉に、廷議の空気は完全に傾いた。
⸻
「……陛下」
監察官が玉座を仰ぎ見る。
アルトリウス王はゆっくりと立ち上がり、白銀の王衣を揺らしながらマルケス伯を睨み下ろした。
「マルケス伯よ」
低く、重く、しかし広間にいる誰もが震えるほどの声だった。
「余はお前に領地を託した覚えがある。だが、お前はその民を守らず、欲に溺れ、同胞を謀り、王国の秩序を壊そうとした」
「ち、違っ……!」
「黙れ」
一言で、空気が切り裂かれた。
マルケス伯は口をぱくぱく動かすが、声は出ない。
「王命により、マルケス伯の爵位を剥奪する。領地は一時、王家監察局の管理下に置く。黒衣商会は解体、関係者は全員拘束せよ」
「ひ、ひいいぃっ!」
伯爵の取り巻きが慌てて逃げようとするが、すぐさま近衛が剣を抜き、押さえつけた。
鎖の音が響き、権勢を誇ったはずの貴族の一団は見る影もなく引きずられていく。
廷議の間には沈黙が落ちた。
⸻
「……よくやったな、トリス」
王は俺を見下ろし、口元にわずかな笑みを浮かべた。
「王国に仇なす影を暴き、証を揃え、正しく訴え出た。その働きは、まさしく領主の責務を果たすものだ」
「恐れ入ります」
俺は深く頭を垂れる。
「だが、油断するな。伯爵一人を倒しても、影はなお広がろう。王国を食い潰す“欲”は、尽きることがない」
「……はい」
その言葉を受け止めながら、胸の奥に熱が広がる。
(影はまだ残っている。だが、俺たちは退かない。領地も、村も、街も、笑顔も守り抜く)
⸻
廷議が散会し、石造りの廊下を歩く。
「やったな、トリス」
アリアが微笑み、肩を軽く叩いてくる。
「これで正面からは攻められないわ」
ミーナが冷静に言葉を重ねる。
「ふふん、派手に燃やした甲斐があったわね」
フレイアが堂々と胸を張る。
三人の笑顔を見て、俺も自然と口元が緩んだ。
「次は……俺たちの街を、もっと強くする番だ」
「そうね」
アリアが頷き、ミーナが帳簿を抱え直す。
「楽しみだわ。炎の出番も増えそうね」
フレイアの声は、妙に嬉しそうだった。
⸻
こうして、王宮廷議での決着はついた。
だがこれは新たな発展と、さらなる陰謀への始まりに過ぎなかった。
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




