王宮の廷議と炎の証言
王都・王宮廷議の間。
高い天井に響くのは、緊張した衣擦れの音。
諸侯、監察官、そして王の勅命により呼び出された者たちが席を埋めていた。
「次の議題――テルマハルト温泉卵を巡る不正疑惑」
監察官が読み上げると、ざわり、と空気が揺れる。
俺は壇上に立ち、横にミーナ、背後にアリアとフレイア。
カインは王宮鍛冶場に待機している。
(さて……ここからが正念場だ)
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「領主トリス=レガリオン子爵」
監察官が俺を名指しする。
「お前の領地にて、帳簿改ざんと不正流通があったとの告発が届いている。どう弁明するか」
「弁明の必要はありません」
俺はまっすぐに声を放った。
「必要なのは“証拠”です」
机に置いたのは――黒衣商会の倉庫で押さえた偽帳簿と、捕縛した商人たちの署名入り証言。
「これらはすべて現行犯で確保しました。
告発は“虚偽”であり、領地の信用を揺るがすための謀略です」
「なっ……!」
列席していたマルケス伯が立ち上がり、顔を真っ赤にする。
「馬鹿な! そんな小僧の言葉など――」
「落ち着きなされ」
冷ややかに制したのは監察官だった。
「偽帳簿は確かに存在する。そしてそこに記された署名……伯爵、これはお身内の商会の者では?」
「……っ」
マルケス伯の顔が引きつる。
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「さらに――」
ミーナが前に進み出る。帳簿を掲げ、澄んだ声で読み上げる。
「“原資はアントダンジョン利益。会計は公開”。
これはトリス子爵領の本物の帳簿に記された原則です。
事実、テルマハルトでは毎日収支を公開し、村人も閲覧可能にしています。
偽帳簿の存在そのものが“外部からの捏造”であると証明します」
ざわざわ、と廷議の空気が大きく動いた。
「嘘を暴くのは数字。誤魔化せません」
ミーナの一言が、場を静める。
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その時、フレイアが一歩前に出た。
「証拠は紙だけじゃないわよ」
指先で小さな炎を灯す。
それはただの火ではなく、透明に澄んだ光を帯びており、神秘的な輝きがその証拠を信じざるを得ないほど説得力があった。
「ご覧なさい。この帳簿、魔術で“日付”を改ざんしている」
フレイアは声を張り上げた。
「つまり、ただの商人の仕業じゃない。魔術を操れる者、つまり貴族の後ろ盾が必ずある」
「なっ……!」
マルケス伯の額から汗がにじむ。
「炎は嘘を焼くの。だから見逃せなかったのよ」
フレイアがにやりと笑った。
廷議の者たちの視線が一斉にマルケス伯へ集まる。
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「……監察官」
俺は一歩進み出て、声を落とした。
「領主を狙った暗殺者もまた、同じ商会の紋章を持っていました。
今ここに証拠として提出します」
机に置かれたのは、黒衣の装備から押収した紋章と後援状。
「これ以上、領主の責務を邪魔する者を黙認できません。裁きを」
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監察官は深く頷き、静かに言い渡した。
「王命により、マルケス伯の所領は調査に入る。黒衣商会は閉鎖、関係者は拘束。
トリス=レガリオン子爵の訴えは正当と認める」
どよめきが広がり、俺は一歩下がった。
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「……やったな」
アリアが小声で囁く。
「紙と炎と、真実で勝ったのよ」ミーナが帳簿を閉じ、静かに笑う。
「派手さはなかったけど、こっちの方が効いたわね」フレイアが肩をすくめる。
俺は拳を握り、深く息を吐いた。
(影を払った。だが、敵はまだ残っている)
(この勝利を足掛かりに、俺の領地をもっと強くしなければ)
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




