森と麦の転機 ― ロックハルトとグレインハルト
朝。
《情報網》を展開した瞬間、脳裏にざらりと情報が流れ込んできた。
ロックハルト村:森で異常発生。トレント出没、伐採不能。
グレインハルト村:豊作過ぎて保存庫不足。作物劣化。
(また同時に……! けど、今の俺なら“同時”でも拾える)
俺は机を叩き、仲間を集めた。
「二つの村が同時に悲鳴を上げてる。ロックハルトは森のトレント、グレインハルトは麦が余りすぎて腐り始めてる」
「どっちも放っとけねえな」
カインが腕を組む。
「戦闘組はロックハルトへ。森の魔物は危険だ。アリア、フレイア、カインで行け」
「了解」アリアが頷く。
「魔物討伐したくてうずうずしてたとこだ」カインが笑ったが、何か考えたようだった。
「私は森を炭にしてやるわ!」フレイアが豪快に言い放つ。
「俺とミーナはグレインハルトへ。保存と分配の仕組みを整える」
「任せて。数字で解決するわ」ミーナの目が光った。
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◆ ロックハルト村/森の入口
「ひぃっ、また木が動いたぞ!」
木こりが叫ぶ。
根を引きずり歩く巨木。
倒した木を片っ端から取り込んで、森全体が進軍してくるかのようだった。
「任せろ!」
カインが大斧を肩に担ぎ、森へ踏み込む。
「おい待て、普段の槌はどうした!」アリアが叫ぶ。
「木相手に槌じゃ効かねえだろ! 斧は薪の魂だ!」
振り下ろされた一撃で、トレントの幹が裂ける。
「おおっ……!」村人がどよめく。
「次、右だ!」アリアが矢を放ち、動きの鈍った枝を削ぐ。
「燃やして炭にするわ!」フレイアが指を弾いた。
透明な炎が走り、裂けた幹を焼いて炭化させていく。
「ただの脅威じゃなく、資源に変えなさいよ!」
「へっ、上等だ!」
カインの斧が唸りを上げ、トレントの首を落とす。
倒れた幹は村人たちが運び、すぐに薪と炭に加工された。
「……終わってみれば、材木より燃料の方がありがたいな」
村の長老が目を細める。
「冬の備えになる。木が“恵み”に変わった」
「これがトリスの村だ」
アリアが弓を収め、満足げに笑った。
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◆ グレインハルト村/中央広場
「領主様ぁ!」
小麦袋が山積みになり、農民たちが頭を抱えている。
「保存庫が足りません! このままじゃ全部駄目になります!」
俺は頷き、即答した。
「解決策は三つ。保存庫を急造する、余剰分を周囲に分配する、残りは加工する」
「加工……?」農民が首をかしげる。
「麦を炒って粉にすれば日持ちする。冒険者の保存食になる」
俺は《情報網》でテルマハルトの宿屋や街道の行商の声を拾い上げ、それを示した。
「それなら……!」
ミーナが手帳に書き込み、目を輝かせる。「“冒険者保存食・グレインパウダー”として売れる!」
「やってみよう」
俺は宣言した。「腐る前に、価値を変えるんだ」
農民たちが一斉に動き出す。麦は炒られ、粉に挽かれ、袋に詰められた。
試しに湯に溶かすと――香ばしい匂いと腹を満たす味わいが広がる。
「……うまい!」
「これなら旅でも食える!」
歓声が広がった。
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「ただいま戻った!」アリアが扉を開けた。
「トレントは薪と炭になったわ!」フレイアが豪快に笑い、
「俺の斧、やっぱ最強だな!」カインが得意げに胸を張る。
「こっちも成功」ミーナが帳面を示す。「保存庫を増やして、余剰は“保存食”に転換してきたわ。商品名も決めてきた。ちゃんと、利益になるわ」
「つまり……」俺はみんなを見渡した。
「ロックハルトは燃料で、グレインハルトは保存食で。それぞれの“問題”が領地の“強み”になった」
仲間たちの顔に笑みが浮かぶ。
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夜。
《情報網》を展開すると、村々から声が届いた。
“冬を越せる”
“麦が金になる”
ただの情報ではない。感情と誇りが繋がってくる。
(……これだ。情報網は、俺に集まり、俺から広がる。“領地の意思”になる)
「トリス、いい顔」
フレイアが笑い、アリアが頷き、ミーナが帳面を閉じる。
俺は空を見上げた。
(守るだけじゃない。育てるんだ。この領地を)
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




