西瓜どろぼうをつかまえろ!
とんとむかしのこと。
西瓜づくりの名人がおった。みんなからは、うりぼうと呼ばれておった。
今年もまた丹精込めた甲斐があってまことによくできた。
形もツヤも極上だ。もちろん美味しさもほっぺが落ちそうなほどだ。
「いやあ、たくさん汗をかいた甲斐があったわい…」
とおおよろこびだが、大変なことがおきた。
だれか知らんが、毎夜、毎夜畑にしのびこみ、西瓜をぬすむ不届きものがおる。
しかも、畑の中でもよくできたものを、である。
「ええい! さてもさても憎いヤツじゃ。こうとられてはかなわん!にくったらしいヤツじゃ!つかまえたら、そいつの頭でスイカ割りじゃあ!!」
あくる日の朝、畑を見るとまた、やられていた。
「その場で食わず、持ち帰っている…おまけに足跡が大きい…。つまり、犯人はどうぶつではない」
ニヤっと笑い、さっそく仕事にとりかかった。
「相手が人間なら…」
うりぼうは、ワラ人形を五体ほどこしらえた。大きさも自分とおなじくらい。
それに野良着を着せ、頬かむりもさせ、じぶんの畑へと担いでいった。
立ったワラ人形、座ったワラ人形、木の棒をもったワラ人形…………
それぞれいろんな体勢だったそうな。
パン! パン!
「では、カカシどの! 畑の番をたのみますぞ!」
これを見ていた村の衆は、首をかしげる。
「スズメやカラスならともかく、人間が盗むというのに…なんになるというのか」
「アイツは知恵者ときいていたが…とんだ買いかぶりだったようだ」
みんなくちぐちに話す。あっちでもこっちでもあきれた声がする。
しかし、うりぼうは…
「そうじゃ、そうじゃ、村のみんな…。その調子じゃ。その調子でこれは人形だとあきれてくれ。笑っておくれ。そっちの方がうまくいきそうじゃ…」
そうこうしているうちに夜になった。空には星が十もない…。
うす暗いが、ドロボウにとってはやりやすかろう…。
夜中になると、ぬぅ~っとあらわれる黒い影。なにやら声がする…。
「おほほぉ、今宵もいい西瓜がある。どれ…これと…これと…」
するとそのまた後から、ぬ~っと黒いカゲ。今度はまぁまぁ大きい。
ポカリ!
どろぼうの頭を思いっきりどついた。
「? だれだ!」
「そらぁ、おらのセリフだぁ!」
そこにはカカシが立っておった。なんと格好は畑のカカシといっしょ。
「カカシのおばけだぁ~」
どろぼうは逃げようとした。
しかし、あわてて逃げたため、西瓜につまづき、すってんころりん。
あっという間にどろぼうはおなわになった。
「お~い、みんなどろぼうをつかまえたぞぉ!」
「おお! よかったな! しかし、どうやってとっつかまえたんだ?」
「なぁに、昼はカカシが、夜はおらが見張りをしていただけじゃ」
「なるほどね…」
あはは、あははと夜の畑にわらいごえがこだました。