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第四部 衝撃の再会

 エントはデッキを横断する様に、後ろ向きで美しい放物線を描きながら跳んだ。捕まえ損ねた前の方の者たちは、バランスを崩してそのまま落ちていった。

(助けてぇけど、無理だそんな余裕無い)

エントは即座に囲まれてしまった。二度も同じ手にかかるまいと少し距離をとった様だ。

「しゃーねーな。全員かかって来い!」

エントは炎の舞を使った。そして、思い切り地面を蹴って跳び上がった。地面に広がったのは、炎ではなく雷だった。

(兄者の真似ってのがちょっと腹立つがどーにもなんねーな、これは)

デッキ上の者たちが痺れて動けなくなったと同時に、エントは向かい側、つまり最初に跳んだ方のデッキの先へ落ちていった。そこでは、先程落ちていった者たちが必死で飛行船にしがみついていた。

「ほら!掴まれ!」

エントは草のつるを出した。顔を見合わせながらも、大人しく登って来た。

「何故助けた?」

エントは逆に首を傾げた。

「え?落ちたら死ぬから?」

「敵同士だろ」

「そんなの今関係ないだろ。目の前で人死んでいい気になる奴がいるかよ」

珍しく良い事を言ったエントだったが、新たな妖気を感じて慌てて戦闘体勢に入った。

「相変わらずだね。伯父さんにそっくりだ。そっくりすぎで、ガッカリだよ」

(伯父さん?)

「伯父さんだって、変な信念のせいで死んだんでしょ?これは忠告だよ。そんな馬鹿な事は止めるべきだよ。それとも」

姿をようやく現した。狐で、赤色の耳と尻尾、そして―茶色の目。

「おま……え……」

「久しぶりだね、”従姉妹の“エント君」

「フェルク……」

エントは完全に固まってしまった。

「行方不明になった後、母さんと父さん、後悔してた?」

「そりゃ、そうだろ」

しかし、フェルクは逆に嬉しそうだった。

「それは良かった。仕事だからって子供を独りぼっちにさせるなんて、こっちからしてみれば、ねぇ」

「ミトさんはもう医者じゃねぇよ。家で裁縫屋やってる。だから、帰ってやってくれないか?」

「なんでさ。わざわざ、僕が折れるの?」

「あんまり迷惑ばっかかけんなよ!それぐらい分かるだろ!」

「分かってるよ!でも、君に僕の気持ちは分からないさ。兄弟仲良く二人三脚助け合える訳じゃないし、周りにも恵まれ無かった。それに、再婚するなんてトメさんは随分と冷たい人なんだね」

「今母さんは関係ねーだろうが!実家の圧力のせいだし、別に親父を忘れた訳じゃねえ!ふざけんのも大概にしろ!」

「ふざけてないよ!」

二人の会話はどんどんヒートアップして行った。

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