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プロローグ どうにも不思議な

六月なのにも関わらず、すっきりとした晴れが訪れた午前の事だった。今日は任務も無く、一同はゆったりとした休日を過ごしている。エントもゲームに興じていた。

「ふぅ。全クリしちまったぜ。でも、面白かったなぁ。次いつなんだろ」

と言いながら部屋を出て階段を降りていると、スインを見かけた。

「あっ、スイン!何してんだ?」

しかし、スインはぼうっと何処かを見ており、エントの声にも全く反応し無かった。エントは首を傾げながらもスインの近くまで行くと、

「あっ、エント君。どうしたん?」

とようやく気付いた。

「いや、水飲みに来ただけだ。何見てたんだ?」

「え?私なんか見とった?別に普通に歩いとったよ?」

エントは適当に誤魔化して厨房に行った。

(明らかに止まってたよな。……無意識なのか?)

「なぁ」

エントは丁度いたコウに話しかける。

「ん?水はあっただろ?」

「いや、そうじゃなくて」

エントはコップに氷を入れた。

「スイン、明らかにおかしいと思わ無いか?」

小さな声だったが、コウはチャーハンをあおりながら考え込み始めた。

「んー、いつもはアインがいるから分かん無かったけど……。確かに、さっき話しかけたけど気付いてもらえ無かったな」

エントはコップに水を入れながら、

「だよな。俺だけじゃ、ないよな」

と言い、水を一気に飲み干すと厨房を出て行った。


 その後は、スインを見掛け無いまま部屋に戻った。

(でも、気になるな……。アインに聞いてみるか?)

エントはアインの部屋のドアをノックした。ドアはすぐ開いた。

「どしたの?」

「いやさ、スインの話なんだが」

エントは一拍置いた。

「声に反応し無かったり、無意識に止まってたりして無いか?」

しかし、アインは別段驚く事は無かった。

「ああ。ごめん。言って無かったか。姉さんは元々そうなんだよ。だから私が隣にいて誤魔化してたんだけど、今日は私が部屋でのんびりしてたからねぇ」

「そうだったのか。なんか、意外だな」

「そう?でも、私も正直心配してる。特に最近、私が手を引いてあげないとずーっと止まってるしね」

「それって大丈夫なのか?」

「分かんないけど、姉さん病院嫌いだからねぇ……」

結局、それ以降は大して中身の無い話になって二人は各々の部屋に戻った。

「そうだなぁ……」

エントは何となく携帯を出した。

「そうだ。ギルド様なら何か知ってるかも」

と軽い気持ちで電話したが、

『今忙しいのですが』

と言われてしまった。

「あ、いや、すみません……」

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