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第四部 重なる疑惑

 その夜。アインは眠れなかった。

(昨日は疲れで寝れたんだけどな……)

アインは溜息を吐くと、起き上がって卓上ランプを点けた。オレンジ色の柔らかい光が辺りを包んだ。

「なんか、ツーハちゃんみたい……」

特に目的も無く携帯を開けてみる。

(こういう光浴びると余計寝れなくなるって言うけど、どっちにしろ寝れなさそうだし)

と思ったが、なんだかしっくり来ず閉じてしまう。

(あっ、そうだ)

アインは静かに部屋を出、図書室にやって来た。本の背表紙を見回していると、ふと、誰かが視線を横切った気がした。

「えっ……」

ランタン一つで歩いていたアインは、鳥肌が立つのを感じた。恐る恐る、一歩一歩歩いて行く。すると、隅に小さな子供を見つけた。

(ゆ、幽霊!?いや、でも、違うかもだし?うん、そういうことにしよう!)

その子供はアインと目が合ったかと思うと、急に駆け出した。

「ちょっ、ちょっと!」

思わず大きな声が出てしまったが、そんな事を気にする余裕も無かった。子供は本棚の間をチョロチョロと動き回る例の虫の様に駆け抜けて行く。

「はぁ、はぁ……ふぅ」

気付けば、子供はある本を取り出していた。ガゴン、と重厚な音。本棚が動き、階段が現れた。

「どうなってるの?」

アインは慌てて付いて行く。長い長い螺旋階段で、ずんずん地下へ降りて行く。辿り着いた先は……

「えっ、何これ?」

なんと、地下とは思えない様な庭、言うなれば楽園が広がっていた。何故か日光が降り注ぎ、色とりどりの蝶が待っていた。遠くには池や小川が見え、木々や花々も盛えていた。

「あなた、何者?」

子供は初めて振り向いて口を開いた。

「汝は如何にして其れを持って居るのだ」

「へっ?」

子供とは思えない言い様に、アインは戸惑いを隠せなかった。

「己の秘めたる物も解らぬと?」

「え……?」

「時期尚早で有ったか。仕方無かろう、此処を他の者に教えるで無い。我は何時も汝を待って居る。時が来る迄。我の名はハフリン。又来い」

すると、アインの視界が真っ白になった。すると、自分の部屋に戻っていた。

(なんか、眠くなって来たかも……)

アインは欠伸をした。ランタンを仕舞い、ランプを消すと、布団に潜り込んだのだった。


 「珍しいな、お前が見失うとは」

「あははっ、本当にねー」

「優秀な瞬間移動持ちだった」

「何何ー?言い訳ー?」

「お前は一旦黙っていろ」

「ぶー」

「一体、何者なんだ。あの王の側近は」

「成程。やはり噂は本当であったか」

―キルラがまだ生きているという。

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