第三部 学んだ事
どうしても様子を見に行きたいと言い、ライトは車椅子に乗せられてソウマのいる部屋へ向かった。
「ソウマ……」
咄嗟に守ったのか顔は綺麗だった。しかし、頭だけ見ても重傷なのが良く分かる程だった。
「ありがとうございます、ラテラフさん」
「仕事なので、お礼は必要無いですよ、お嬢さん。それにしても……」
ラテラフは溜息を吐いた。
「生きてるのが不思議なくらいです。もちろん骨折はしていますが、上から降って来た岩に押し潰されたとは思えない程綺麗に折れてますし」
「そういえば、フウワは?」
「手術が終わるまでずっと側にいたので、終わった途端眠ってしまったんですよ。……すみません、私は普通に寝てしまいました」
「いやいや、イネイに迷惑かけるのも……」
というやり取りをしていると、ラテラフは伸びをした。
「久しぶりですよ、こんなに大掛かりな手術をしたのは。以前は、あの人ですね」
「しゅ、手術代は……?」
とライトは恐る恐る尋ねる。すると、
「大丈夫ですよ。一応国の機関ですから」
と声がした。ギルドだった。
「丁度、来ましたね」
「相変わらず仕事が早くて助かります」
「慣れてますし。それに、本人の技のお陰もあります」
ラテラフは椅子に座る。
「お茶どうぞー」
スインがやって来た。
「頂きます」
スインも腕に包帯が巻かれていた。
「大丈夫なのか?」
「いーやー、こんなん、大した事ないでー」
スインは腕を回して見せる。
「ただ、盛大に擦りむいたってだけや」
「兄者ー、俺の心配はしてくれないってか」
エントもやって来ると、流石に部屋はいっぱいになった。
「お前は大丈夫だろ。むしろこっちの方が重傷だっつーの」
「岩に突っ込んで無傷な奴がいるかよ!」
「ほんまにありがとーなー」
スインは背伸びをしてエントの頭を撫でる。エントの尻尾が大きく膨らんだ。
「包帯替えるので、出て行ってもらっても良いですか?」
「「はーい」」
皆は一気に部屋を出た。すると、なぜかヒノガがいた。
「あれ?なんで?」
「なんとなく来てみただけだ。決して、お前らが生きてるか心配になって来た訳ではない」
「本当にかー?」
エントがつつくが、ヒノガは動じなかった。
「俺は嘘だけはつかんと決めている。なぜなら、お前らが死ぬ訳が無いからだ」
「はへ?」
ヒノガはライトに近づいた。
「お前はいやらしい事に人に助けてもらうという才能がある。現に、俺も、協力して良いと思っている。軍人じゃないんだ。もっと、俺たちを頼れよ」
それだけ言うと、ヒノガは去って行った。




