第二部 圧倒される面々
本当に一瞬の出来事だった。ソウマはライトを思い切り押し、自ら岩の真下に潜り込んで行ったのだった。岩は当然落ち、ソウマは見えなくなった。
「ソウマ!」
トルキはライトを見つめる。
「お前はあいつによく似ている。人を巻き込むのが本当に上手だ。勝手に作った仲間を、守りきれずに後悔の念を重ね」
突然岩が爆発した。そして、グラスヒールが発動し、ソウマは立ち上がった。しかし、体の各所から血が滴っていた。
「随分と優秀な盾を見つけて来た様だな。だが、お前は人材の無駄遣いをしているだけだ」
更に岩がソウマへと落ちて行く。ソウマにはもう避ける程の力も無かった。
「やめろ!」
ライトはトルキに近づこうとする。しかし、なんと足場ごと放り投げられた。ライトは誰にも見えなくなってしまった。
「こんな死に方されてたまるか!」
フウワはテールハンドをソウマへ向け、無理矢理引き上げた。
「いっ……」
テールハンドはボロボロになった。しかし、フウワはソウマを優先した。
「大丈夫か?気絶してないか?」
「うっ……」
ソウマは起き上がろうとする。
「おい!無理すんな!」
(放っておいたら失血死しないだろうな……?)
「所詮はここまでか。こいつの回収はしておこう。巻き込むといけないからな」
トルキは姿を消している筈のスインを岩で捕らえた。
「姉さん!」
アインは必死に攻撃するが、岩はヒビも入らなかった。
(自分が情け無い……)
「うおおおお!」
エントが炎を纏った突進で岩を壊した。
「先程より妖気が大きくなっているな。何かからくりがあるのだろう」
エントの足元から蔓の様に岩が生えて来、エントの足を縛った。
(油断した……!)
「だが、爪が甘い」
トルキは辺りを見回す。
「大方こんなものか。やはり呆気なかったな。そろそろ、トドメをさしても良いだろう」
と、トルキが手を前に突き出した瞬間、鋭い岩が辺りを覆い尽くした。しかし、トルキは不思議そうな顔をしていた。
「……奇妙だ。急に妖気が消えた」
しかし、彼らの行方は突き止められ無かった。
「ん……んん」
ライトは目を覚ました。すると、安堵しているイネイが見えた。
「あれ……まだ昼……?」
「違います。丸一日気絶してたんですよ……。良かった……」
「そういや、ソウマは!?」
ライトは勢いよく起き上がる。が、全身に激痛が走りすぐに元の体勢に戻った。
「駄目ですよ!傷口が開いちゃいますよ!」
「あ、ああ……すまん」
「ソウマさんは、生きてますから!……大怪我ですけど」




