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第三部 機会はすぐに訪れる

 『良いだろう、技は渡す。だが、これは完全なものでは無い。自らの努力で真の力を引き出して見せよ。あくまで仮である事を忘れぬように精進する事だ。いつでも剥奪出来るからな』

それだけ言うと、獅子はのっそりと立ち上がり、消えてしまった。

「本当に技貰ったのかこれ?」

エントは全く実感が無かった様だ。そして、エントは知らなかった。この技は習得する事自体よりも、それを保持して生きる事の方が難しいという事を。


 「あれ……?ここさっきの森の前だよな……?」

エントは気づけば戻されていたのだ。しかし、背後から妖気を感じた。

「お……じゃなかった、せ、拙者は!ブラックスの!忍び!ヒスラだ!」

しかし、余りの辿々しさに、エントは気勢を削がれてしまっていた。

「お前の!一家に!伝わる!秘伝の!技の!習得?いや取得?まぁいい!貰いに来た!行き方教えろ!」

「なんでいちいち切るんだ?あと、それ俺がもう習得しちゃってるぞ?」

ヒスラは目をパチクリさせて、ブンブンと首を振った。

「じゃ、じゃあ、お前を倒して聞いて、そんでもって、消せば良いんだな!」

(こんなんだけどやっぱブラックスか!)

ヒスラは刀を抜いてエントに切りかかった。エントは避けながら森に入って行く。ヒスラも見事に付いて来た……が、乗った枝が細過ぎたようだ。折れてしまい、ヒスラは必死に幹にしがみついていた。

「助けてー!ねえ……はいないから誰かー!」

エントも目をパチクリさせた。その時、何者かがヒスラを掴んでエントの近くの枝に着地した。

「全く……木偶の坊なのにあの方の弟とか本当に腹立つぞお前……」

「す、すんません、先輩!」

「ヒスラ、お前は帰れ」

「無理です!」

「何故!」

「帰り道、分かりません!」

先輩忍者は溜息を吐いた。

「もう一緒に戦え!」

「はい!」

(なんちゅー茶番だ……)

エントは力が抜けてしまっていたが、大勢潜んでいる事を感じ取り、気合いを入れ直した。

「おい!バレてんじゃねーか、お前ら!」

先輩忍者は大変そうであった。エントは素早く森の前に戻った。隠れるのを諦めた忍者達がゾロゾロと出て来た。

「お前ら!これでどうにか出来なかったらお頭が来て、俺が怒られるんだからな?」

しかし、皆はあまりやる気が無さそうで、分かったよたいちょー、と吹聴していた。先輩忍者は地団駄踏んでいた。

(使ってみるか、この技!)

エントは状況の大変さを理解していたのだが、それ以上にワクワクしていたのだった。

キャラクター設定28 ヒスラ

 ヒスラはドジで情けなく、更にどうしようも無くお馬鹿です。

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