第四部 呆気ないと言えば呆気ない
しかし、そんな時間もすぐに終わってしまった。何者かがゆっくりと歩きながらやって来たからである。
「あらあら。やっぱり負けちゃったのね。全く、部下の尻拭いなんて。上に立つのも良い事ばっかじゃないわね」
草猫の女性で、仕草から余裕が滲み出ていた。三人は戦闘体勢に入った。
「私はブラックス幹部のフィーナ。どんな悲鳴を聞かせてくれるのかしら?」
(今までの相手たちとは違う、場慣れ感と戦闘への姿勢……。妖気だけじゃない、もっと抽象的なもので分かる)
アインは思わず二歩後ずさった。
「さて、誰から行こうかしら?うーん、まぁ、とりあえず。良いもの聞かせてよね?」
フィーナは身軽で、瞬時にカルロウに飛び掛かっていた。だが、カルロウも青で防いだ。
(さっきはドジ踏んだから、汚名挽回!負ける訳にはいかない!)
「あら。随分と硬いのね。確かにこれじゃあマトモに攻撃出来ないわ。……私じゃなかったら」
フィーナは全体重をかけて二度目をした。すると、青は呆気なく割れ、カルロウはなんとか避けた。
「うーん、目眩しになってるのね。他の子にしようかしら」
「そうはさせません!」
「良く言えたわね、そんな事。じゃあ、行動で示してご覧なさいよ」
フィーナは瞬時にライトの肩を掴み、長い爪先を首に向けていた。カルロウですら全く付いて行けなかった。ライト本人が一番驚いているが。
「こっちは簡単だったわ。さて、君の悲鳴はどんなのかな?」
ライトの首元に、じわじわと爪が近づいて行く。カルロウもアインも走っているが間に合いそうに無い。今にも刺さりそうになったその時、何かが爆発しフィーナの手が緩んだ。その隙に、ライトは脱出する。アインはハッとした。
(まさか、あの時の……)
「つくづく、腹の立つ部下だわ。もうあんたたちには従いませんってか。仕方ない、気を取り直してもう一回!」
再び、あの動きをしようとしたが、足が動かなかった。見ると、足が氷で固定されていた。
「小細工が多い事!」
フィーナはそれを振り払った。しかし。
「こんだけ時間稼げば、あの人は絶対当ててくれる」
フィーナの足に、無慈悲な水の弾丸が直撃した。
「なっ……」
フィーナは立つ事が出来なくなった。
「まだ終わりじゃ……」
後ろから誰かがやって来、一撃で気絶させた。
「すみません、遅れました」
「ギーヨ様!」
「アインさん、お怪我を!」
結局、慌ててソウマに直して貰った。姉妹は合流し、ハイタッチをした。なんとか乗り切る事が出来たのだった。
キャラクター設定㉗ フィーナ
フィーナはとにかくヤバい奴です。




