第三部 ギリギリの助け
ケイルは矢をそこらを歩いているアリの数程飛ばした。ライトはそれを軽々と避けて行く。
(なんだろう……体に力が入らない……)
アインはそれをぼんやりと眺める事しか出来なかった。
「どんな足してんだよ……」
ケイルも驚くその速さで、ライトは目の前まで来た。
「どうだ!」
「俺はそんなに馬鹿じゃねえよ」
ライトの背後から急に矢が現れ、足に刺さった。
「ぬあっ……」
「一瞬どうしたものかと思ったが、間抜けで助かったぞ」
ケイルはライトにしっかり照準を合わせて弓を引いた。そして、手を離した。
「なんだ……これ」
しかし、次の瞬間、ライトの前に青い宝石の壁がそびえたっていた。壁は易々と矢を弾いてみせた。
「良かったー!間に合いましたー!」
カルロウである。
「さてと、勝負です!」
カルロウは赤い方を出した。ケイルも構えた。しかし、ケイルはあさっての方向に飛ばした。
「俺が出来るだけの仕事はやった。正直勝てる気がしねぇが、強くなって、あいつを迎えに行かなきゃだしな。やるか!」
「来い!です!」
ケイルの矢と、カルロウの赤がぶつかった。カルロウの赤が勝った。しかし、矢が突然現れ、カルロウに向かって来た。カルロウはスレスレで避けた。
「うおっと。油断なりませんね!」
しかも、赤は避けられてしまった。カルロウはジグザグに突っ込んで行く。
「訓練された感じが良く出てるな」
カルロウは突然現れた穴に落ちてしまった。
『うわっ、なんじゃこりゃ?』
カルロウまで封じられてしまった。ケイルは移動しようとするが、突然何者かが飛びかかって来た。
「こいつ……まだ動けたのか?」
アインだった。そのまま氷漬けにして行く。
「成程な……。氷狐なんて、初めて見るなって思ってた……」
妖石のネックレスが外れていた。しかし、ケイルの技が解けると自ら戻って来た。カルロウは眩しそうにし、ライトはゆっくり立ち上がった。氷は溶けていった。
「ああ、寒……。もう妖力もねぇわ……。一つだけ、聞いてくれ」
アインは疑わしそうにしながらも耳を傾けた。
「紫目の闇狐は俺だけじゃねぇ。シンってのがいるんだ。そいつは俺と喧嘩別れしちまって。今はどっかで暮らしてる。迎えに行きたかったが……無理そうだな。頼む。シンに、明るい世界を見せてやってくれ」
カルロウがケイルを縛り始めた。
「気にしなくても良いですよ!アインさん!」
しかし、アインはそんな訳には行かなかった。
(シン……か。ちょっと気になるな……)
アインは遠い日々に思いを馳せた。
キャラクター設定㉖ ケイル
ケイルは本当は凄く優しい人です。次の機会にはそこがよく表れて来ると思います。




