第二部 矢の元
ソウマの手前の地面に矢が刺さる。場に緊張感が駆け巡った。
「皆さん、出来ますよね?」
ギーヨが尋ねると、皆は大きく頷く。一斉に走り出し、一人一人倒して行くという事になった。アインも、一人で戦う事となり、かつての街をひた走った。
(正直言って、ここで戦ったら色々壊れちゃうから嫌だけど……いつかは、壊れるもんね……)
アインは妖気のする所へ虱潰しに氷を放った。
「何人いるんだろ……?でも、さっきの矢を撃って来た人は、そう遠くない筈……」
アインはそう言って右に曲がろうとしたが、嫌な気配がして後ろへ体を向けた。すると、右肩に矢が掠った。
(危なかった……。牽制の為に撃ってるのかな……?)
突然ギーヨがやって来た。
「大丈夫ですか?」
「えっと、「お怪我をしているではありませんか!」
アインは急な大声に驚き跳び上がった。
「あっ、失礼いたしました。血は……出ていない様ですね。しかしお洋服が……」
「良いんです良いんです。それに……」
ギーヨはキョトンとした。
「やられたからには、やり返したいじゃありませんか!」
ギーヨ様は一瞬固まったが、すぐに笑顔になった。
「ご立派になられましたね。そして、最後に一つ。彼は、おそらく自分の意思でこれをしています」
ギーヨは瞬間移動で去って行った。アインは矢の飛んできた方向に走り続けた。矢が飛んでき始めると、アインは手応えを感じる。
「お前か、俺を探してたのは」
遂に姿を見る事が出来た。
(紫目の……闇狐?処刑された筈じゃ……)
「大方俺がなんで生き残ってるのか不思議なんだろ?だが、そんな事考えてたらその間に倒しちまうぞ?まあ、お前は本部に連れてかなきゃなんだが。あ、そうそう俺はブラックスのケイルだ」
ケイルは何も持っていなかったが、瞬時に弓と矢を出し、十本同時に、しかもバラバラの方向に矢を飛ばした。アインはスレスレで避けるが、なんと追尾して来、避けきれず一本だけ左肩に命中した。アインは急に力が抜け、その場にへたり込んだ。
「案外呆気なかったな。本当にこいつが欲しいのか?ボスの考えてる事は良く分からん。猫の王が来ない内に行かないとな」
部下たちがやって来て、アインを縛ろうとした……が、目の前を電光がよぎった。次の瞬間、ライトが部下たちを蹴り飛ばしているのが見えた。
「大丈夫か?」
「あ、うん」
アインはただただ唖然としていた。
「お前を生かしておく道理はないからな」
「ああ。だろうな」
両者の睨み合いが始まった。
キャラクター命名秘話㉑ ケイル
ケイルは
「ケ」+「射る」
です。
次回は少し迷っています。




