第五部 恩返し
「お前、あいつの妹だろ?丁度良い、弱そうだしこいつを人質にして……」
(あわわ……買い物に来ただけなのにー!)
少女ツムギは偶然出会った悪そうな奴らに捕まり、大慌てしている所である。
「おい、電話掛けろ」
「あ、あの人、け、携帯、持って……ませんっ」
「んな訳あるか!この時代に持ってなかったらどうやって連絡とるんだよ!」
(突拍子も無いのが普通だからなあの人……)
「仕方ない、吐かせるか」
(どうしよう!何されても無いものは言えないよ!なんでこんな事にぃ……)
その時だった。鏡の破片が彼らに突き刺さったのは。すぐに視界が真っ暗になり、方向も変えられた。再び前が見えた。
「大丈夫ですか?」
「え…あ…は、はい」
ツムギは振り返ろうとするが、止められた。
「やめておいた方が良いですよ。お嬢さんが見ていいものではありません」
「あ、ありがとうございます…」
「いえいえ。どうぞ気を付けてお帰り下さい」
「はい。…お、お名前…は?」
「キョウと申します」
そして、ツムギは帰路についた。
(怖かったー……。でも、素敵な人だったな……。お姉様なら、知ってるかな。猫の国の人と関わりあるし。とにかく、お礼がしたいな)
一方、キョウは……
(やり過ぎた……。どうやって片付けたものか。仕事もあるのに……。でも、ちょっとは恩返し出来たかもしれない)
それは、ツムギからしてみれば偶然だったが、キョウからしてみれば恩返しだった出来事であった。
「悪かった悪かった!お前弱いもんな!次からは護衛をつけるか!」
ツムギはそれをオムギに話した。
「あの、キョウさんって、知ってますか?」
オムギは大爆笑し始めた。
「兄の恩返しってか。著作権スレスレで笑っちまうぜ!ギーヨの弟でな、私が最後に見たのは五歳の頃だったか?良い男になってたか?」
ツムギが何も言わずに頬を赤らめると、オムギはまた笑い出した。
「お前とあいつが結婚したら実質ギーヨが弟になるな!」
「ちょっ、お姉様はなんでも話が……」
「早過ぎる、だろ?だが、そんな事してられるのも十八になるまでだ。早めに決めとかねぇと後悔するぞ。私みたいにな」
ツムギは言葉を失った。
「イネイもそういう意味だったんだが……あいつ自覚してないかもしれんな。ま、時間はそうかからないだろ。引いたら負けだぞ?押すもんだ!」
「それが出来るのは「んな事あるか!私と同じ腹から出て来てんだから大丈夫に決まってる!私らも王族だから可能性もある!」
ツムギにとって、災難ばかりの一日となった。
キャラクター命名秘話⑳ ツムギ
ツムギはオムギと同じ感じなのですが、もう一つあります。
「紡ぎ」
次は設定の方です。




