第二部 新年
翌日。フウワは……筋肉痛になっていた。
(お、起き上がれん……)
昨日のあれがいかに無茶苦茶だったかを物語っている様だった。ソウマが部屋に入って来た。
「大丈夫?筋肉痛で起き上がれないって聞いたけど」
「ああ……私も大概馬鹿だったんだな」
「無理はしないで……って言いたい所だけど、僕も人の事言えないんだよな……」
ソウマは軽く欠伸した。
「昨日の疲れかな……眠いな……眠いけど……」
ソウマは何かゴニョゴニョ言いながらフウワへ横から倒れ込み、眠ってしまった。幸い筋肉痛の所では無かった。フウワもまた、眠ってしまった。
「あけおめー!」
一方、エントは元気よく新年の挨拶をした。今日は元旦なのだ。
「あけましておめでとうございます」
「お、あけおめ」
厨房にいたコウとイネイが返した。
「今日は新年やなぁ」
スインとアインが降りて来た。
「「あけおめー」」
「お二人、来ませんね」
「寝かしとこうぜ。疲れてるみたいだしな」
コウはライトだけ起こしに階段を上って行った。
「はっ」
九時頃。ソウマが起きた。自分の状況を確認して一旦固まり、勢いよく床に座った。フウワも丁度起きた。
「ごめん」
「い、良いんだ。寝れたんなら」
二人は勢いよく一階へ行き、朝食を摂った。
「みんなは?」
「ライトとエントは光屋敷の新年会に連行されてた。あの姉妹はどっか行った。イネイは帰省だ」
「私も行って来る!」
フウワは慌てて準備を始めた。
「気を付けろよー」
「いってらっしゃい」
「行って来る!明日には帰る!」
勢いよくドアを閉じた。
「……いつか外れそうだね」
「だな」
残った二人は家事をし始めた。
「ソウマさんはどっか行かなくて良いのか?」
「実家には帰りたくないし……うーん、オスコさんの所ぐらいは行こうかな」
「今すぐじゃないのか?」
「午前は忙しいと思う。朝のうちに色々やっておいた方が良いからね。山は日没が早いから」
コウはたつくりを作っていた。
「おせち?」
「ああ。朝は雑煮だったしな。あと、猫の国の国王が食べたいって言い出したらしい」
「なるほど」
二人は仲良くおせち作りに勤しんだ。
「イネイ遅い!間に合わなくなるでしょ!」
「は、はい!」
男性が主な担い手となる農業。それによって成立している穀物屋敷では、自然と地位の差が生まれていった。男性、既婚の女性、未婚の女性という様に。イネイの様な彼らは、新年会で準備、片付け、酒やつまみなどの追加などをさせられる。イネイは急いで座布団を並べた。




