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第二部 兄弟って

 スインは撃って来た角度や位置から相手の居場所を大体掴んだ。しかし、撃つ事はしなかった。スインは音を立てぬよう体の向きを変えた。


 (避けられた……?まさか手練れの狙撃手がいるのか?情報では、透明になるだけで隠れようともしていなかったとあったが)

一方、相手は驚きつつ静かに移動していた。

(おそらくさっきので位置は特定されただろう。それでも撃って来ないか。狙撃手の心得を良く知っている様だ)

相手はどんどん進んでいく。すると、人の足跡を見つけた。

(ここは砂場になっているのか。狙撃手がそんなヘマをするか?姿は見せない方がいいだろう)

相手は茂みに隠れながら足跡を辿っていく。すると、一つの茂みに辿り着いた。

(やはりあからさますぎる。他を当たろう)

敵は踵を返した。その瞬間、その茂みが揺れた。相手は即座に茂みを撃つ。地面が赤く染まったのを確かめると、相手は戻ろうと歩き始めた。その瞬間、何かが飛んで来た。


 狙撃手。相手を騙す事も、作戦の内である。その“何か”は相手の胸をピンポイントで貫いていた。スインは木から飛び降り、皆の所へ戻って行った。二人の狙撃手に背を向けて。


 「よし!もう少しだ!」

そんな中、皆はキョウの一歩手前まで迫って来ていた。ギーヨはいち早く進み、キョウを発見した。

「キョウ!脱出出来ますか?」

キョウは両手を後ろで縛られている状態で、足は自由だったが檻に閉じ込められていた。キョウは首を横に振る。

「では、なるべく右に寄って下さい」

ギーヨは鉄の球で檻を破壊した。キョウは両手はまだ使えないが何とか脱出した。ギーヨは縄を切る。

「あ、ありがとうございます……」

「すみません」

ギーヨの一言に、キョウは驚く。

「キョウには、迷惑かけてばかりだと思っています。少し無理があったのかもしれませんね。僕の弟だからと易々と側近にしてしまったのは間違いだったのかもしれません」

「僕ってギーヨ様の弟だったんですか!?」

「僕十七ですよ?」

キョウは驚いていたが、少しすると真面目な顔になった。

「別に、戦えない僕にはこれくらいしか出来ませんし、全然、気にしてませんよ。あと」

キョウは鏡を出し、操って割り破片を作った。

「間違いだったのかもなんて、二度と言わせませんから」

自信に満ちた、屈託の無い笑顔に、ギーヨは微笑んだ。

「分かりました。でも、怪我をしても知りませんよ?」

「分かってますよ」

二人は同時に駆け出した。そして、キョウは初めての相手と出くわした。

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