第四部 決着と楽しい時間
スインは馬、アインは狼に乗って山を登って行く。ちなみに、二人とも生き物に乗るのは初めてで、ほとんど賢い二匹のお陰である。二匹は木々の間を軽やかに走り抜け、あっという間に追いついてしまった。
「ありがとうなぁ」
スインが頭を撫でると馬は目を閉じて静かになった。一方狼はアインの手をすり抜けて避けた。
「……撫でられるのは好きじゃ無いのかな?」
「とりあえず、あの人止めよか」
「あ、うん」
スインが大きく後ろに退がると、アインは地面を凍らせ始めた。そして、王を上へ上へと追いやって行く。スインは王を遠くから撃った。と言っても、気絶させただけだ。
「なんか、急に静かになったな」
外にいたアルガはそう言った。
「気配的にも全員倒したみたい。任務達成よ」
「よっしゃ!」
皆がゾロゾロと出て来、スインとアインもそれぞれ動物に乗って帰って来た。皆がワイワイと喜んでいる中、狼はソウマに近付いた。ソウマはその頭を撫でる。
「撫でられるのが苦手な訳じゃ無かったんだね」
アインは興味深そうに見ていた。
「とりあえず、全員帰るぞ!」
「私たちも?」
「え?なんか変だったか?」
丁度、ギーヨがやって来た。
「では、送りますね」
ギーヨは皆を瞬間移動させた。
「報酬は後日だそうです」
ギーヨは帰って行った。キッチンからコウが顔を出した。
「思ったより人数少ないな。結構作ったぞ」
皆は食事室に行った。片付けたテーブルが出され、皆が座れる様になっていた。だが、料理の量がとてつも無かった。
「……すまん」
「いいんだ。俺、心当たりがあるんだよ」
ライトは電話をした。
「『先に食べてて』だってさ。飲み物準備するか」
一通り準備を終えると、ライトが呼んだ人が来た。
「ライ兄!きたよー!」
勿論、ツーハである。
「おいしそー」
「ツーハも来たし、乾杯するか」
乾杯すると、食事は立食形式だったため、皆が行列を作った。勿論、それを考慮して別のテーブルにあった飲み物から先に取る者もいた。
「こら!炊飯器泥棒!」
ツーハが炊飯器ごとご飯を持って行こうとすると、案の定怒られた。
「だってたりんもん」
しかし、ツーハは悪びれもしなかった。だが、勇敢な少女にも恐れている人はいる。
「さっさと戻せ!つまみ出すぞ!」
フウワである。ツーハは戻してライトの所へ逃げた。
「コウに頼んで炊いてもらえ」
「うん」
更に、別の意味で怒られている者もいた。
「エント!野菜も取れ!」
料理人・コウは全員のメニューを把握していたのだった。




