第三部 再接近
「どうぞ先へお進み下さい。終わりの見えていた事ですから」
その様子を見て、ライトは
(なんか、達観してるな)
と思ったのだった。三人は向かい側の廊下に出てそのまま先へ進んだ。
「よし!これで全部だな!」
更に、他のメンバーは壁を全て崩し終えた。こう言ったのはアルガだ。勿論、やって来た兵たちも全員倒した。
「ようやく中に入れそうだ」
オスコもため息をついた。
『作戦通りのチームで行く様に』
というチーナの声に、
「はーい」
とアルガが返事をしている間に、皆は行ってしまった。
「あれ?俺は?」
『私の所に来て』
「……はい」
アルガの役目は、チーナを守る事だった。
「……うーん、通路が入り組んでてどう行けばいいのか分からないね」
しかし、ソウマたちは宮殿に入る事には成功したものの、どう進めば王に会えるのか全く分かってい無かった為、右往左往する羽目になっていた。
「片っ端から部屋探ってけば何かしらはあるだろ」
ヒノガは右の部屋のドアを開けながら言う。
「イヤホンで連絡取れるんじゃ無かったの?」
パキラがそう言うと。ソウマは気まずそうに目を逸らした。
「いや、それが……あの人と戦って飛ばされた時に落としちゃったみたいで……」
「何やってんだ」
「まぁまぁ。仕方ないじゃん、終わった事だし」
不機嫌なヒノガをパキラが宥めると、よりヒノガは不機嫌そうな顔になった。
「お前は甘すぎるんだ。時には反省も必要だ」
「分かってるって。でも、ヒノガはヒノガで責めすぎだよ」
言い合いを始めた二人を止めようと頑張ってみるソウマだったが、彼らの視界にすら入ってい無かった。色々な意味で。
「先、行っちゃうよ?」
ソウマがそう言うと、二人は彼を見た。
「お前一人で行ったら本末転倒だろ。仕方ない、さっさと行くぞ、パキラ」
ヒノガはそう言って先頭を歩き始めた。パキラはニコニコした顔でヒノガを見ていた。
「何とか戻って来れたね。でも王は逃げちゃったかも」
アインとスインはまだ宮殿に入っていなかった。
『ええ。でも、気配で場所は分かるから二人は追いかけて。あの禍々しい気配の人たちは他の人に任せて良いから』
二人はチーナの言う通りに動いた。すると、走っている王が山を登っているのが麓から見えた。
「追いつけるかな?」
『大丈夫。助っ人を送ったから』
チーナがそう言い終わると、動物の足音が聞こえて来た。現れたのは今山にいた狼と最初に妨害して来た馬だった。
「確かに、これやったら行けるかもしれやんな」
ン
「………………………」