プロローグ 目撃
「君、ちょっとそこに立って」
パキラがソウマにそう言うと、ソウマはそれに従った。パキラが手をかざすと、ソウマが淡く光る。傷が消えていくのが目に見えて分かった。
「ありが「お礼は言わなくて良いよ。私に出来る事は限られてるんだし。ヒノガ、あんな感じだけど良い奴なんだ。気を悪くしないでね」
パキラがソウマにそう言っていると、ヒノガが不機嫌そうに、
「話は後だ。早く行くぞ」
と言うと、二人は彼の後に付いて行った。
宮殿の内部では、スインとアインがあるものを見て驚いていた。
(何……あれ。機械に人が入ってる……)
アインが思った通り、カプセルの様な物に誰かが入っていた。更に、それは幾つかあった。見た目は普通の人と何ら変わりは無かった。しかし。
(なんか変な妖気やなぁ)
それはチーナも感じていた様で、
『やけに宮殿から禍々しい気配がすると思ったら、これだったのね』
という声がイヤホンから流れて来た。物陰に潜んでいる間に、誰かがやって来た。
『さっきからずっとここと他の部屋を行き来してるみたい。……この人が王かもしれないわ』
二人はその男をじっと見る。長い長い蛇の尻尾と切れ長の目。やはり蛇だった。
「とんでもない事になったな。仕方ない、これらを使うとするか」
男はパネルを操作し始めた。アインが慌てた様にスインを見る。スインは既に撃つ姿勢になっていた。スインの撃った水の弾丸はコードを切って機械を停止させた。
「……誰かいるな」
二人は素早く機械の後ろに回り込む。しかし、背後から何者かの気配がした。二人同時に振り向いた。すると、禍々しい気配を持った蛇がいた。
(ここにいるのだけじゃ無かったのか)
アインは距離をとりながら思う。
「お頭ーっ。近くから女の匂いがしますぜーっ」
「王様と言えと言っているだろう。構わん。攻撃しろ」
「へーへー。姿は上手く消してるみたいだけど、匂いまでは誤魔化せてないみたいだなーっ」
その蛇は鋭く尖った黒い石を飛ばして来た。二人は透明である事を諦め、自分に当たる前に全て破壊した。
「カプセルに当てるんじゃない」
その技は機械にも当たっていた様だ。
「難しいんですよーっ」
「じゃあ、こうすればいいな」
急に瞬間移動させられたと思ったら、森に来てしまった。
『そこは近くの森よ。そんなに遠くないから落ち着いて。戦いに集中する事』
「それ、黒曜石やろ」
「物知りだなーっ。そうだけど?」
「姉さん。とりあえず倒さないと」
姉妹は技の準備をした。
「絶………………………」