第三部 各々の役割
「まあ、私たちにも大事な役目がある訳やし。先を急ごか」
「うん、見つかったら折角の作戦が台無しだもんね」
二人は再び透明になり、中央部へと走って行った。
では、他のメンバーの役割は何なのか。単純だがかなりの重労働である。
「ようやくヒビが入ったな」
エントは額の汗を拭った。彼の目の前には壁。これを崩そうとしているのである。
「お前ならこれ溶かせるんじゃ無いのか?」
フウワがテールハンドで自分の持ち場のものを少しずつ凹ませていながら尋ねた。
「そんな超高温炎出したら、全員熱中症で倒れるぞ」
「どけ」
そんな二人の会話に割って入って来たのはかの氷猫、オスコだった。二人は何か言い返そうとしたのか口を開いたが、ドリルの様に回転しながら巨大なつららが飛んで来て、言う事が出来なかった。つららは壁を突き破り、横向きになって壁の下部を削っていく。壁は向こう側に倒れて行った。
(これ、良いんだよな……?)
と思ったエントに対し、
「おい!危ないだろ!」
とフウワがオスコに言うが、オスコは涼し気な顔で
「忠告はした。それに、お前らの効率の悪いやり方よりかはずっとマシだ」
フウワは敵意を剥き出しにしていたが、反論はしなかった。
「それはどうかな?」
ソウマがやって来た。すると、壁全体にヒビが入り、粉々になった。さらに瓦礫はハエトリソウが取り除いていく。
「どう言う原理だ?これ」
エントが不思議そうに首を傾げると、ソウマはエントの近くに行った。
「見てて」
ソウマは葉を一枚壁にくっつけた。そして、葉は光り……爆発した。
「特殊能力の応用だね。技も自分の一部だと意識してみたんだ」
「じゃあ、あの時もこうすれば良かったんじゃね?」
「威力とか発生速度とかに少し難があるんだ。相手に葉をくっつけるなんて至難の技だし」
ソウマは話している様でしっかり手も動かし、エントやフウワの所は綺麗さっぱり無くなった。
「他にも困っている人がいないか見てくるね。横が崩れてくるかもしれないから気をつけて」
「ああ」
エントとフウワは走り出した。避難したのか全体が静かだった。
「やはり他の職業の奴を引くと帳尻が合わん。庶民の振りして、全員兵士だったのかもな」
フウワがそう言っていると、頭上から人が降って来た。二人は左右に避けた。
「これを避けるか。今回の奴らは雑魚では無いらしい」
現れたのは蛇では無く狼だった。
「ここは早めに突破したい。全力で行くぞ、エント」
「ああ!」
三人同時に駆け出した。
「…対……………………」
キャラクター設定19 クミル
クミルは単刀直入に言いますと、ただの案内してくれる人です。19は何故か変換出来ませんでした。
次回もこれです。




