第二部 計画立て
「これは、厄介ね。中央部に狼がいるみたい。多分、国王の怪しい実験に絡んでる」
チーナがいきなり口を開くと、全員の視線が彼女に集まった。
「なんでそんな事が分かったんだ?」
エントが驚きながら尋ねると、
「私の特殊能力は“気配キャッチ”よ。妖気とは違う気配で探る事が出来るの。まぁ、分かるのは位置と人数と属性くらいだけど。後はヒノガの仕事ね」
と返し、チーナはヒノガをチラリと見た。ヒノガはそっぽを向いた。
「ふふふ。照れ屋さんな人でしょう。あの人の特殊能力は“分析”。見た人の大体の事は分かるみたい」
それを聞いたライトが、
「へぇ、どんな事が分かるんだ?」
とヒノガに尋ねたが、ヒノガは口を開かなかった。そんなヒノガに肘でつつきながら
「無愛想なのは嫌われるよ?」
とパキラが言うと、ヒノガはため息をついた。
「別に俺は嫌われ者でもいい」
「とりあえずどうするん?」
話の流れを無視してそう言ったスインにアインは呆れた。
「姉さん、空気読んで」
スインは首を傾げただけだった。
「でも、こんな話してたら日が暮れる。さっさと計画を立てるぞ」
フウワがそう言うと、誰も不平を言わずそうした。
「村みたい、って言われてたみたいだけど、軍人は一万人くらいよ。狼との連合軍かしら」
チーナの言葉を頼りに、計画を立てていく。
「『三人寄れば文殊の知恵』だな。普段より良い計画が出来た気がするぞ」
ライトが満足そうに頷いている隣で、エントが
「もんじゃの知恵?」
と言っていたが、
「馬鹿は黙ってろ」
とフウワに言われただけだった。
「よし、じゃあ、持ち場にちゃんと着く様に。チーム同士はあくまで他人の振りね。後」
アインは説明しながらソウマの方を向いた。
「くれぐれも勝手に行動しない様に」
皆は一斉に散らばった。
「やれやれ。中々に大変な事を任されたものだ」
ヒノガとパキラの二人組はこの国に一つだけある門の前に立っていた。
「でも、ヒノガってコソコソするの苦手でしょ?」
その時、二人いた門番の内の一人が話し掛けて来た。
「何者だ。用が無いなら帰れ」
しかし、ヒノガは
「それもそうだな」
と言い、二人を火の玉で倒してしまった。
「侵入者だ!派遣を要請しろ!」
壁の向こうが騒がしくなり、門が開くと門から見えた大通りを埋め尽くす程の兵士がやって来た。
「パキラ、やれそうか」
「もちろん。衰えてなんか無いわよ」
(なんとか、入れたわ)
一方、スインは門が空いた隙にアインと中に忍び込んでいた。裏路地に入ると、姿を現した。
「これは、結構な数だね」
アインは不安そうに言った。
ク
「……………………」
キャラクター設定⑱ キョウ
キョウは一見モブキャラの様に見えるかもしれませんが、十分キーパーソンです。しかし、改訂版での登場シーンは少ない気がするので、少し意識していきたいと思います。
次回もこれです。




