第三部 プールだ!①
一週間後。明らかに負傷していたソウマもすっかり回復し、フォニックスは依頼が来ず時間を持て余していた。
「生活費、大丈夫だよな?」
ライトは団扇で涼みながらアインに尋ねる。アインは通帳を見せる。
「大丈夫。依頼が来ない日は給付金が出るから。ちなみにこれは国からね」
と言ってニタっと微笑んだ。
(なんか怖え……)
とライトが思ったのはここだけの話である。エントがテレビを見ながら、
「暑いし、みんなでプール行きたいな。水着もレンタル出来るみたいだし」
と言うと、フウワとアインが
「変態!」
と怒鳴りながらエントに集中砲火を浴びせた。それを見たライトは首を傾げた。ソウマが自室から出て来た。
「今日は暑いから、プール行くのもいいかもね」
すると、フウワとアインは
「「それもありだな(ね)」」
と賛同した。
「なんで……」
というエントの言葉を誰も気に留めず、一同はプールに行く準備をし始めた。
「広っ!」
遊園地の一角にあるプールにやって来たのだが、その広さにライトはそう言った。他の皆も少なからず驚いているようだった。
「狐の国最大のテーマパーク、らしいで」
スインがパンフレットを見ながらそう言う。その時にはあの兄弟は駆け出していた。
「まずは……水着選びか」
フウワは水着貸し出し所を一瞥した。アインは料金表を真剣に見ていた。
「まぁ、これくらいなら」
アインのお許しが出た。最も、二人は既に水着選びを始めていたのだが。
水着に無事着替えた一同だったが、ライトとエントが海パンなのに対し、ソウマはラッシュガードを着ていて、女子たちはスクール水着に近いデザインだった。
「俺ら選択を間違えた訳じゃ無いよな?」
急に不安になって来たエントがライトに尋ねた。
「大丈夫だ。周りを見てみろ。俺たちみたいなのいっぱいいるだろ?」
エントがライトの言う通りにすると、確かに海パン一丁の人が多数派だった。
「よくもまぁあんな格好を出来たもんだ」
フウワはビキニ姿の人達を睨みながらそう言う。
「とりあえず、泳ごーぜ!」
ライトはプールに入った。しかし、それは流れる水のプールであり、ライトは体勢を崩した。
「何やってんだ、兄者……」
エントが珍しく呆れた。ソウマは浮き輪をレンタルしに行っていた。エントの後頭部に何かが当たり、その勢いでエントはプールに落ちた。
「水鉄砲や」
スインは技を水鉄砲代わりにしていた。
「いや、洒落になんないだろ!」
危うく溺れかけたエントは抗議したのであった。
キャラクター設定⑭ チーナ
チーナはあの登場シーンだけだったので、性格はあまり伝わっていないかもしれません。
普段はしっとり落ち着いたお姉さんです。
次回もこれです。




